キジトラ猫の茶目
投稿者:くれそん (1)
中学生のころキジトラ猫を飼っていました。茶色い目だから茶目。ある日海岸に捨てられていたのを姉が拾ってきて、それから家の猫になりました。
言葉がわかっていたのでしょうか。散歩すると言うと走ってきて一緒に散歩したり、お父さんを呼んできてというと庭の父のところまで呼びに行ったりするような猫で、獣医さんに行くと聞くと姿を隠すので、通院予定は筆談でした。
田舎なので基本猫は放し飼い。茶目も真夜中にどこかに出かけて行って明け方帰ってくるような生活をしていました。
ある日。そうやって出かけて行ったまま帰ってこなくなりました。姉いわく丁寧にあいさつをしてから出かけたそうです。何日も何日も、どこをどう探しても見つかりません。あきらめなきゃいけない。でも会いたいとある夜、泣きながら眠りにつきました。
夢の中に茶目が来て、ずっと部屋で一緒に過ごしました。いつものように少し甘えて、なでたりくっついたり。でも目が覚めると茶目はいない。それからしばらく、夜さみしくて泣いていると必ず夢の中に茶目が出てきて一緒に過ごすようになりました。
何か月かたったある夜。そうやって夢の中で遊んでいると窓の外が明るくなってきました。もう朝なんだなと思っていたら、閉まっていたはずの窓が開いていて明るくなってきた空を見ていた茶目が、一度私を見た後にゆっくりゆっくり空に上がっていきました。
ああもう空に帰るんだね。もう泣いていても来ないんだ。となんとなく悟り、でも全然悲しくないのを不思議に思っているうちに目が覚めました。
それからはさみしくて泣くことも、夢の中に茶目がくることもありません。
ただ、それ以来、茶目のことを思い出すと、必ず右の肩がじんわりと暖かく重くなって、ほっぺたがなでられたような感覚になります。まるで肩の上でほおずりされたみたいに。思い込みかもしれません。がとても心地よいのです。
これを書いている今もやっぱり。
とても心が温かくなりました。いつまでも茶目さんのことを忘れないで欲しいと思いました。私も我が家の猫たちを忘れません。