俺は幽霊が見えるんだが
投稿者:髭切ニキ (1)
俺は物心ついた頃から幽霊が見える。
小さい頃は、周りの目を気にせずに何も無い空間に話しかけてたから親によく怒られたし、友達にも気味悪がられた。
だから、小学校低学年くらいには『あ、俺普通じゃないんだ』と理解できるようになって、人の目があるところでは幽霊に話しかける事もしなくなったし、そもそも幽霊が見える事を誰にも言わないようにしてた。
あれは大学に通ってた頃だったかな。
そんな俺の決心を試すように、一人の男が現れた。
Aという男は、俺の大学時代の友達の一人で、人当たりの良い正直な奴だった。
そんなAには老婆の霊がいくつもくっ付いてた。
俺は、Aと話す際、その老婆に目線を移しながらいつも『この幽霊は良い幽霊なんだろうか』とか考えながら、Aとの会話は話半分で意識は老婆に向かってた。
そんな俺の視線を不思議に思ってたAはいつしか俺の事を『いつもオレが話してる時は上の空だよな』と批難し不機嫌になるようになった。
正直申し訳なかったが、俺としては幽霊が見える体質だなんて打ち明けても信じてもらえる訳がないと思ってたからいつも『ごめん』と下手に出てた。
そんなある日、Aと会った時、老婆の様子がおかしかった。
何というか、酷く狼狽えているとでも形容できる動作を繰り返してて、困った様子だった。
だから俺は老婆の方をずっと見てたんだが、そんな老婆と目が合ってしまった。
『あ、ヤバい』とサッと顔を背けたけど遅かった。
老婆は俺の顔を覗き込むように近づき、こう言った。
『ハハ、ジコ、ハハ、ジコ』
ハハジコ?なんだそりゃと思った。
でも、繰り返すごとに言葉を区切るので、すぐに『母、事故』と理解できた。
俺はAに「お前の母さんって家にいるの?」と訊ねた。
突拍子の無い質問にAは「は?」と気味悪そうに顔をしかめたが、俺はもう友達の関係が終わってもいいと思って正直に老婆のメッセージを伝えた。
「別に信じてもらえなくてもいいんだけどさ、お前、おばあさんの幽霊に憑かれてるよ。んで、さっきからおばあさんが『母、事故』って言ってるから伝えた方がいいと思って。ごめんな」
と、すらすらと言い終えた俺は、最後に軽く頭を下げて席を立った。
これで俺は気味悪がられてAという友達を失うだろう。
それでも老婆のメッセージは伝えられたから良しとしよう。
あれだけ必死に俺に訴えかけていたのだから、きっと悪い幽霊では無かったのだ。
そう自分に言い聞かせて、俺はその日、Aと別れて一人で講義を受ける事になった。
夜、Aから携帯に電話が来た。
そういえば途中からAの姿が無かったなと思い電話を取ると、Aは開幕から『〇〇、悪い。信じてなかったけど、マジだった』と電話越しでも動悸が伝わる抑揚で言われた。
どうやら本当にAの母が事故に遭ったようだった。
と言っても、曲道で自転車とぶつかった拍子にこけて手首を突き、骨にヒビが入った程度で済んだそうだが。
Aには『おまえ、幽霊見えんの?』と率直に聞かれたので、小さい頃からそういうのが見える事を伝えると、Aは『へえ、すげえな』と感心していた。
因みに、Aに憑りついてた老婆の特徴を伝えると『それ、俺の婆ちゃんかも。小学生の頃に亡くなった』と言ってた。
Aは『そうか、婆ちゃん俺を見守ってんのか』と鼻をすするように述べていたが、俺は俺で、あの老婆はAの守護霊的な存在だったのかと納得した。
男色に興味なければ投稿者さまの行動が正しいじゃないかと。
霊感強い人には色々苦悩もあるんだろうな(男色は別として)
私としては最後に男色の世界に踏み入れてしまった事を期待していましたよ。そちらが怖いけど…
きっとBはその道で幸せになるさ
妙にリアルだな…
これからも人の為に役立てて欲しい。
私もみてもらいたいです。
私は幽霊は見えませんが、亡くなった両親にいつも見守られているのだなと感じています。
怖さの質が違う話だったw