お盆に見た兵隊さんの話

夏休みに、祖母のいる田舎に遊びに行った時の話です。
当時小学生だった私は夏休みに祖母の家に泊まれるのがとても楽しみでした。親戚たちも集まるので、にぎやかで楽しかったのです。

夏休みのメインイベントだったのが、夏祭りでした。廃校になった小学校が会場で、地域の方が準備をして大きな火を囲います。その火を中心に盆踊りを踊ったり、ビンゴ大会をしてちょっとした景品が当たったりします。
すごく楽しくて、夢中で踊って少し疲れた私は学校の入り口に座っていました。みんなテンションが上がっていてどこにいても騒がしくて、疲れていた私はそれが少し苦痛でした。
体育館を会場にしていたので、裏口に行けば静かかもしれないと思い、一人裏口を目指しました。思った通り、人の声は聞こえるけどかなり遠くに小さく聞こえるくらいでした。これならゆっくり休憩できると安心して裏の石段に座りました。

少し目を閉じて夜風に当たっていた時でした。不意に生ぬるい空気を感じました。夏なので、当然暑いのですが、そういう感じではなくて体にまとわりつく空気でした。空気を感じたのは左側で不思議に思ってそちらを向くと青白い兵隊さんが座っていました。こっちを見るでもなく、ただ隣に座っていて、私はそれを幽霊だとか思った訳ではないのですがとっさに立ちあがり、走りました。

正面まで帰ってきて思い返した時、初めて怖くなりました。何故、行った事もない裏口に回ったのか。何故、真っ黒で明かりの無い石段に座った時怖いと感じなかったのか。
今でも分からないし、兵隊さんがだれなのか、何を伝えたかったのかも謎のままです。