紹介されない女の子

私はその日、ゲームセンターで友達の彼氏を紹介されました。

すごく落ち着いた感じで、ギャルギャルしい友達とは雰囲気からして違いました。

その彼氏らしき人にはずっと連れて歩いている女の子がいたのです。

手を繋いで一緒にいるその子を友達がいつまで経っても紹介してくれないので、ずっと気になっていました。

その子と目が合ったので、にこっと笑いかけたのです。

その子はきょろきょろと周りを見回して、そしてこっちをじっと見上げてきました。

だから私は愛想よく手を振って笑いかけたのです。

そんな私を見てその子は慌てて彼の後ろに隠れてしまいました。

あまりに可愛らしい行動をするので、私は彼の後ろまで追いかけてみたのです。

そして次の瞬間「ええ？」と声をあげました。

理由はさっき後ろに隠れたはずの女の子が見当たらなかったからです。

私は不思議になって、こっちから友達に「それで彼の隣にいた女の子は誰なの？」て聞いてみたのです。

そしたら友達も友達の彼もよく分からないという顔で、「女の子？」と聞き返してきたのです。

私はさっきまで彼氏と一緒にいた女の子の話をすると、だんだん彼氏の顔色が変わります。

そして私に言うのです。「俺女の子なんて連れてきてないけど」とそういわれて、さすがの私もきょとんとしてしまいました。

話していく内に分かったのですが、その日は5つ年下の末っ子の妹の命日だったそうです。

病死だそうですが生前はすごく人見知りで、兄である彼にずっとくっついていたそうです。

私はじゃあ幽霊を見たのかとぞぞっとしてしまいました。

普段からそういうものが見えるタイプではないのですが、あの日は何か波長があってしまったのかもしれません。

その後も何ともなく、憑りつかれたりしなくて良かったと思いました。