夜の散歩
投稿者:Dream is.. (1)
これは私が大学生となり上京し一人暮らしを始めた時に経験した不思議な経験です。
私は一人暮らしで親の監視から開放されたってことで舞い上がって夜中の散歩が趣味でした。
夜中の散歩は、いつも見ている昼間の人の生気を感じられる世界とは違い、人の気配が無くなり普段見ているはずの世界がまた違った顔を見せ、ちょっとした異世界を散歩している気分を感じられとてもドキドキしながら楽しんでいました。
まぁそんなことは言いつつも、一人で暗い夜道をずっと歩くのは怖かったのか、家から近場の道を練り歩く位が精一杯でした。
夜の散歩を1ヶ月ちょっと続けていたら、夜の闇の恐怖に慣れてしまったのか、普段通らない道や家から少し遠い所まで足を伸ばすようになっていきました。
その頃住んでいた地区には、高台から少し大きい公園を見下ろせる場所があり、その公園は普段は親子連れやジョギングをしている若者で賑わう場所となっています。
その高台周辺は、住宅街の中心にありながら夜になるとほとんど人通りが無いため夜景を遠望もできる私の秘密のスポットとなっていました。
そんな夜の散歩を続け夏の気配を感じ始める時期になった頃です。
私はいつものように、高台まで散歩していると、高台の下の公園に何か黒い影の様なものが居ました。
私はその時『何だあれは?』と思い、柵から身を乗り出そうとした途端、黒い影は物凄い勢いで、公園奥にある高台に登るための坂道に走って来ました。
あれは何だ!?犬にしては大きいし、こんな近くに山も林もない住宅街のド真ん中にイノシシや熊なんか居るはずもない、それに何で少し身を乗り出しただけなのにこちらの気配を感じ取れたのか?
そんな思いが頭の中でぐるぐると交差しながら確実に私は恐怖を感じていました。
このままでは確実に不味いという恐怖に囚われ家の方に走り出しました。
走っている中、足音や声は聞こえない筈なのに恐ろしい何かが近づいていることだけは感じていました。
無我夢中で走り家に着くなり布団に潜り込みました。
布団に潜ってからも、ずっと黒い影の気配に震えていると、いつの間にか寝てしまったのか朝となっていました。
それからしばらく夜人気の無い道を一人で歩くと何かの気配を感じるようになったため、夜の散歩は次第にできなくなっていきました。
今ではもう謎の気配を感じることは無くなりましたが、あの時の黒い影の恐怖があるため夜の散歩はしておりません。
あの時もし黒い影に捕まっていたらと思うと頭がおかしくなりそうです。
夜人気のない場所には私達が到底知り得ない、知ってはいけない闇が潜んでると思います、これを読んでいる貴方が夜の散歩を趣味としているならば十分に気をつけてくださいね。
ベランダから夜の街を双眼鏡で見ていたら…という話を思い出しました
素敵なご趣味だったのに残念ですね。