空き家に誘う子供
投稿者:ぴ (414)
私の家の近くには、長い間人が住んでいない古びた家がありました。
学校帰りの帰り道にその家はあって、私は登下校でいつもその家を気にしていました。
理由は誰もいないはずの空き家なのに、窓のところに人影を見ただの子供の声が聞こえただの怖いうわさが絶えなかったからです。
その日私は部活で帰りが遅くなり、夜間一人で家まで帰っていました。
いつもなら自転車なのですが、運悪く自転車のタイヤがパンクして歩くしかなかったのです。
いつも気になる不気味な空き家が、その日はより一層不気味に見えました。
その空き家をなるべく見ずに通りすぎようとしたのですが、「あのー」と声をかけられて、心臓が飛び出るくらい驚きました。
顔を上げると、小さな男の子が目の前にいたのです。
小学生くらいの背丈の子供でした。
前髪がぼさぼさで顔が見えない子で、それがまた気味悪かったです。
その子は私の足元を指さしており、そこにボールが転がっていたのです。
私は転がってきたボールにも全然気が付かなかくて、それを取ってほしいのかと思いました。
だからそのボールを拾い上げました。
すぐに目の前の子供に渡そうとしたのですが、一瞬目を離しただけなのに目の前にさっきまでいた男の子が突然いなくなり驚きました。
拾ったボールを持ったまま、焦って男の子を探していたら、あの空き家の玄関が少しだけ空いているのに気が付きました。
そしてそこから手がにょきっと出てきて、こちらをおいでおいでと誘うように動きました。
私はぞっとしました。だって今までこの家に誰かがいるのを見たことがなかったのです。
あきらかにやばい誘いで、私は上ずった声で、「ここに置いときます」と言って、ボールをその場に置いて走ってその場から逃げました。
全速力で家まで帰って、その日はなかなか寝付けなかったです。今でもあれは絶対にヤバイ体験だと思っています。
短い文章でも怖さが伝わってきました。
行かなくてよかったですよ。
こわいてすね。