見えない赤ん坊
投稿者:林 (4)
高校時代の友人の一人に若くに結婚した子がいる。
子どもも二人いて、とても幸せそうだった。
そんな彼女から聞いた話。
念願のマイホームを建てた。
土地は夫の実家の持ち物を譲ってもらった形だったため、建物の方にお金をかけることができた。
夫と二人で相談しながら建てた家はとても満足のいくものだった。
次女が小学校に入学した年。
その日は午前中だけの授業だったので、娘二人は早く帰って来た。
長女は友達と遊ぶと行って出ていき、次女は夫の書斎で遊んでいた。
リビングと襖を隔ててある和室を夫の書斎として使っていた。
机の上や本棚を触らなければそこで遊んでもいいというルールになっていたので、
子ども達は時々そこで遊ぶことがあった。
キッチンで洗い物をしていると、次女がそばにやって来た。
「ねぇママ、赤ちゃんの声がするよ」
「赤ちゃん?」
「うん。泣いてる声」
水道を止めて耳を澄ませる。しかし、何も聞こえなかった。
「ママには聞こえないんだけど」
「パパのお部屋だと聞こえるよ」
夫の書斎に行くと確かに赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
ふにゃふにゃとした新生児くらいの月齢の浅い赤ちゃんの泣き声だった。
「本当だ。近所で赤ちゃんが生まれたんじゃない?」
「そうなのかな?」
「そうだよ。窓開けてると声が響くからうちまで聞こえるんだよ」
その日は少し暑かったので、リビングや書斎の窓も開けていた。
きっとご近所さんも同じように窓を開けているのだ。
昔はこの辺りは畑ばかりだったそうだが、今は住宅地になり新しい家もたくさん建っていたので、
子育て世代が移り住んで来ていると聞いたことがあった。
「そっか。だからか」
そう言うと次女は安心したようで再びお人形で遊び始めた。
恨んだ相手本人ではなく場所に憑いてるっていうのが、家族を巻き込む形の呪いで怖かった
しかも呪いはまだ続いてそうで、、、
浮気した旦那が全て悪いわな…