兄と土人形
投稿者:生ハムメロン (2)
私は4人兄妹の2番目で、兄と2人の妹、父、母と暮らしていました。
私の自室は妹と共用の6畳程の子供部屋で、その部屋には半畳分程の広さがあるクローゼットがあります。
ある日の朝のことです。登校する支度をしているとふとクローゼットの扉が空いていることに気が付きました。
しかし、次の日もまた次の日も扉は空いていました。
妹を始め家族にクローゼットの扉を開けたか聞きましたが誰も開けていないといいます。
この扉は磁石で締まるようになっているため少し力をいれないと開くことはできないので勝手に開くということは考えられません。
その日は思い過ごしではないかということで、夜にしっかりと締めたことを確認して寝ました。
しかしやはり翌朝には扉は開いています。
気味が悪くなった私達に母は「一つだけ心当たりがあるかもしれない」と言い、クローゼットの中身を取り出しはじめました。
そして出てきたのが「土人形」でした。犬のようにも熊のようにも見える人形で、頭には兜(?)を被っています。
母によると親戚のだれかが兄の誕生祝に送ってくれたもののようですが、誰からのものなのかは覚えていないということでした。
この人形を母は一度も飾ることなくクローゼットの奥にしまっていたのでした。
「もしかしたら人形が長い間飾られていなかったから怒って悪さしているのかもね」という結論に至りしばらく玄関に飾ることになりました。
飾り初めて数日後の夜、兄の叫び声となにかが割れる音で私達は目を覚ましました。
玄関の人形は床に落ちて割れてしまっており、兄はその破片で腕を切ったようで血が出ていました。
兄曰く、トイレに行った帰り玄関の前を通り過ぎた時後ろから突然誰かに腕を掴まれたそうです。
驚いて手を振り払うと何かが割れる音と耳元で舌打ちが聞こえたそうです。
土人形の破片は翌朝普通ゴミに出されましたが、それ以降不思議なことは起こっていません。
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