行き先
投稿者:風見鶏 (6)
私はごく普通のサラリーマンです。
そんな私の現在進行形の話です。
私は3年程前にある地方に転勤となり、車通勤をしています。
自宅から会社まで少し距離があるのですが、ドライブが趣味の私には然程苦ではありませんでした。
ある日の帰宅途中の事です。
その日は上司からのパワハラや部下のミスの尻拭い等でストレスが溜まっており、色々と考え事をしていたせいか交差点に進入してから赤信号に変わっている事に気付き、慌てて急ブレーキを踏みました。
幸いにも歩行者や他に車も居らず事故にはならずに済みましたが、何故かシートベルト着用のランプが点灯し警告音が鳴り出しました。
私は何度かシートベルトを取ったり着けたりしましたが、着用ランプと警告音は一向に鳴り止みませんでした。
急ブレーキを踏んだ衝撃で壊れたのか?など色々と考えましたが、暫く走っていると着用ランプが消え警告音も鳴り止んだのでそのまま帰宅する事にしました。
その後は警告音が鳴る事は無く、すっかり忘れかけていた頃の昼休み、後輩にドライブのオススメスポットが無いか聞いたところ、
「〇〇峠の途中の自販機のところに小さい駐車スペースがあるんですけど、そこは朝日の隠れ絶景ポイントでオススメですよ!」
と教えてくれました。
テンションの上がった私は早速〇〇峠までの道のりを思い出し、明日の朝何時に起きれば出社に間に合うかの計算や、明日の天気を調べ始めてしまい、後輩が何やら他に話していた様でしたが一切聞いていませんでした。
翌日の出社前、教えてもらったポイントを訪れた私は他の人の邪魔にならないよう、小さい駐車スペースの一番端に駐車しました。
朝日が昇ると思わず「おぉぉ」と声が出てしまう程、そこから見る景色はまさに絶景でした。
(日頃のストレスを発散する為に月一でここに来よう)などと勝手にルーティーンを決め、意気揚々と車に乗り込み走り出した時です。
またシートベルト着用ランプと警告音が鳴り出しました。
すっかり忘れていた私は、「直ったんじゃなかったのかよ、、、。」と少し落ち込みましたが、暫く走っていると警告音が鳴り止み、先程の感動のお陰もあってか「まあ、後で修理出すかぁ」とあまり深く考えませんでした。
その日の帰宅時、朝とは打って変わって外は土砂降りの雨で、いつも通る線路下が冠水してしまった為、仕方なく違うルートで帰ることにしました。
その途中、線路を渡った際にまた警告音が鳴り出し、いつもなら暫くすると鳴り止むのですが、その日は帰宅するまで鳴り続けていました。
大雨のせいで悪化したのか?と思い、翌日が休みだったので車屋で点検してもらう事にしました。
しかし、車屋に持って行く際も警告音は鳴っていないし、点検結果も特に異常は見当たらないとの事でした。
買い替えにしては早いよなぁ、と考えていた時、知り合いから妙な話を聞きました。
「最近、線路下で霊が出るらしいぞ!」
どうやら、社内でも何人か見たと言う人がいるらしく、調べてみると「首の曲がった女」と「全身焼け爛れた男」という共通点があるらしく、交通事故で死んだ女だとか、焼身自殺した男だという事になっていました。
しかし、その線路下では焼身自殺はおろか、事故すら起きておらず、私はよくあるデマだと鼻で笑って呆れていました。
タクシー?