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ヒトコワ

aononさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

誰の悲鳴?
短編 2022/08/07 12:19 1,338view
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幽霊話では無いですが、私が人生で1番恐怖した体験を投稿してみます。
それは10年前、私が新卒で地元を離れ田舎の会社に就職した頃のお話です。

その会社には社員寮があり、退職しない限り全員その寮に住まなければなりませんでした。
寮は会社が借り上げしたマンションで、私含め20人弱の社員が住んでいました。

入社して半年後のある夜、異変が起こりました。
布団に入り横になっていた私は、ある音で目を覚ましました。
その音はまるで金属を壁に何度も打ち付けているような、ゴン!!ゴン!!という低い音でした。
音は自分の部屋の左隣から聞こえており、3度ほどゴン!!と鈍い音を立て、そのあとはまた静かになりました。

違和感を覚えた私は翌日、自分の部屋の左隣に住む男性社員に昨夜のことを聞いてみる事にしました。
「すみません、昨日ゴンゴン音を立ててませんでしたか?」
すると、男性社員は「ああ!棚を作ってたからその音かな?ごめんね〜」と笑ってその場を後にしました。
そんな音ではない、もっと鈍い音だよなぁ…?と感じながらも、私も愛想笑いをして終わりました。

しかし、その違和感は最悪な事態となって的中してしまうのでした。

それから3ヶ月後の深夜。いつものように寝ていると、耳が裂けるような女性の悲鳴がマンション中に鳴り響きました。
それは喉が千切れるような女性の野太い叫び声、いえ、もはや断末魔でした。
マンション中を揺らすほどの断末魔に、他の社員住民もただ事ではないと一斉に外に出て、廊下にたむろしました。

「一体誰の声?」「外から聞こえたんじゃないか?」「いやこれだけ響いたのだからマンション内からだよ」
寝巻き姿でそれぞれが右往左往して気味悪がり、その夜は近くに住む社長までやってきて大騒動となりました。

一人一人に無事を確認するも、誰も悲鳴を上げていない、と解決には至らず、ついに警察を呼ぶこととなりました。
そして急転直下、私の左隣に住む男性社員が逮捕されたのです。

それぞれの部屋を確認した警察が、男性社員の部屋から衰弱した女性を発見しました。
あの鈍い音は、男性社員が彼女の頭を鷲掴みにし、壁に打ち付けている音だったのです。
そして聞こえた断末魔は、彼女が最後の力と勇気を振り絞って出したものだったのです。
人当たりの良い男性社員でしたが、お付き合いしていた女性を監禁し、夜な夜な暴力を振るっていました。

あまりの展開に社員は騒然、私は逃げるようにして荷物をまとめ、その月のうちに会社を辞めて実家に戻りました。

この世で1番恐ろしいのは人間だ、そう感じた私の恐怖体験です。

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