蜘蛛の糸を追いかけて
投稿者:ぴ (414)
祖父が亡くなって祖父の家を家族みんなで大掃除したときに、蜘蛛の糸を追いかけて大きな蜘蛛の巣を見つけました。
私たちはぞっとしながらその巣をすべて撤去したのです。
蜘蛛の巣の中には小さな蜘蛛がたっくさんいて、私たちはギャーギャー言いながらそれを駆除しました。
苦労はしましたが、だいぶ綺麗になった家にとても達成感を感じました。
しかし、その日の夜に不思議なことがあったのです。
夜中の11時ごろだったと思います。外から「夜分遅くにすみません~」と上品な女の人の声が聞こえました。
「こんな時間に何」と私は思いましたが、もう父や兄たちは掃除の疲れから早くから眠っていたので、私と母が出ていったのです。
そこにいるのは頭巾のような不思議な帽子をかぶった髪の長い女性でした。
その人は「私の家はどこですか?」と突然訪ねてきたのです。
私と母が困惑して「どなたですか?」と尋ねてみましたが、その人は私たちの質問には答えてくれませんでした。
そしてもう一度「私の息子たちはどこですか?」と尋ねました。
私と母は顔を見合わせて、この不審な人物に困り果てました。
その人としばらく押し問答し、質問と答えがかみ合わない会話を続けました。
そうしていたら女の人は何か諦めたように頭を下げて、「夜分遅くにすみませんでした」と帰っていきました。
その帰る寸前に私はその女の頭巾に隠れた顔をちらっと見てしまったのです。
暗い中一瞬見えたその容貌は目の下にぎょろっとした目がいくつもついているように見えて、私はひぃっと小さく悲鳴をあげました。
翌日、父が大声をあげて私たちを呼びました。
そして「でっかいクモの親玉がいた」と私たちに死んだ蜘蛛の死骸を見せてきたのです。
それは今まで見たこともないような本当に大きな蜘蛛で、驚きました。
その蜘蛛を見て、私は昨日見たあの不気味な女性を思い出したのです。
そして母を見ると母も何か感じるものがあったようで、真っ青な顔をしていました。
真夜中に家に訪ねてきた女性は自分の家と子供たちの安否を真っ先に聞いてきました。
もしかしたらあれは祖父母の家に長年住みついていた蜘蛛だったのかもしれません。それなら辻褄が合うと思うのです。
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