塩の侵略
投稿者:peacock (1)
それはとある夜に見た、不思議でちょっと不気味な夢でした。
気が付くと、私は友人と共に誰かの披露宴に来ていました。ドレスを纏い、顔も覚えていない友人と披露宴を終え、帰路につこうとした時でした。ふと床を見てみますと、何やら白い粉のようなものが床に散乱していました。
「これはいったいなんだろう」
よく見ると、それはどうやら塩のようでした。何故このようなところに塩が、と思いましたが、その時はそのまま気にせずに披露宴会場のある建物の出口へと向かいました。
ところが、いくら押しても引いても建物の扉は開きません。そうこうするうちに、会場の方から悲鳴が響き渡りました。振り替えると、人型で白い粉を身に纏い、周囲に撒き散らしながら、人々を襲う巨大な怪物が暴れておりました。私と友人はその場から必死に逃げ、披露宴会場のあった建物内を逃げ回りました。
人型の怪物の他にも、塩の塊のような犬、バラの花の形をした物体が、塩を花粉のように撒き散らしたりするなど、建物内はすっかり化け物たちの巣窟へとなり果てていました。それらの周りには既に犠牲になった人々が倒れており、接触すれば命はないのだと私達に教えているようでした。
しばらく建物内を逃げ回っていた私達は、ふと建物の出口が開いている事に気づきました。私達は急いで出口へと向かい、まず友人を先に逃がしました。
「どうして!?」
さあ私も逃げようと出口をくぐろうとしますが、どういうわけか出口をくぐると、いつの間にか出口の手前まで移動しているのです。ゲームで言うのならばループしている、というものでした。
何度出口をくぐっても出口の手前に戻ってしまう。怪物はすぐ後ろまで迫ってきていました。
「お願い、出て!!」
意を決して、助走をつけて出口へと体当たりをした私は、無事出口を脱することに成功し、友人が回してくれていた車に乗ってようやく建物から離れることが出来ました。
何度か後ろを振り返って確認しますが、怪物の影も形も見えません。私達は逃げられたのです。
「なんだったんだろうね」
「危なかったね」
車を操る友人とそんな会話をしながら、私達は帰路につきます。普通なら警察に電話をするでしょうが、これは夢の話。すっかり安心した私達は軽い旅行気分でした。
ふと、隣車線に車が並走してきました。現実でもよくあることなので、特に気にもせずぼうっとその車を眺めていました。
・・・ところがどうでしょう、その車は見る見るうちに、白い粉のようなものに内側も外側も覆われていきました。よく見ると、車内にはあの人型の塩の怪物がいて、じっとこちらを見ていました。そしてその車はやがて進路を変え、坂を下りていき姿を消しました。
良かった。通り過ぎた。そう思って、気付きました。青ざめた私を、友人は心配そうに見ています。
私はそんな友人に震える声を抑えながら伝えました。
「あの坂の先、私の実家だ」
家族が人形の塩怪物だったということだろうか
塩?舐めた?