無人のはずのエレベーター
投稿者:マズダ (7)
私が大学時代の話です。
友人たちとの飲み会で泥酔し、朦朧としながら自分が一人暮らしをしている学生マンションに帰ってきました。
私の部屋は4階で、ときには階段を使うこともあるのですが、その日はさすがにエレベーターを使うことにしました。
エントランスロビーの蛍光灯がチカチカと点滅し、管理人仕事しろよ!と舌打ちをしたことを覚えています。
ほどなくエレベーターがやってきたので乗り込みました。中には誰もおらず、私は5階を押してそのまま奥までは進まず、側面の壁にもたれ掛かり目を閉じて酔いに耐えていました。
ほどなくエレベーターの扉が開いたので、私は反射的に降りようとしました。
するとその瞬間、
「あ、まだ4階ですよ」
と後ろから女性の声がしたのです。
私は礼を言おうと振り返り頭を下げました。そして・・・
そこに誰もいないことに気づきました。
扉はまさに閉まりかかる刹那、私は一気に酔いが覚めるのを感じながら外へ飛び出しました。
真夏の夜だというのに体中を寒気が覆っていて、しばらくは震えが止まりませんでした。
『今の声は何だったんだ?』
と思いながら4階から自分の家までは会談で上がりました。
鍵を開けようとすると、鍵は開いていました。
私の性格上、鍵をかけ忘れて家を出ることはないはずなのです。
なのに、この日は施錠していなかったのです。
エレベーターの件もあったので、かなり不安を感じながら自室に入りました。
結局、その夜も、その後も何も起こることはなかったのですが、あの日以来私はエレベーターには極力乗らないようにしています。
万が一どうしても乗らないといけない場合は必ず奥の壁際に立つようにしています。
それにしても、あの日私が咄嗟にエレベーターを降りなかったら・・・どうなっていたのだろうか。
今となっては全てが謎です。
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