バイクのお兄ちゃん

ある昼過ぎのこと。主人と車で出かけているとき川沿いを走っていると私たちの３台前あたりにあるＴ字路に、右からバイクが突っ込んできました。
助手席にいた私は「危ない！！」と叫びましたが主人は何が起きたか分からない様子だったので、「今前方のT字で右からバイクが突っ込んできて、タクシーとぶつかった。」と話すも、事故は起きていないとのこと。

前方の車も事故を起こした様子もなく普通に進みバイクのお兄さんが転落したように見えた川を見るも誰もいませんでした。車が進み事故が起きたであろう場所に私たちの車が通ってもバイクはなく事故が起きた様子もありませんでした。本当にバイクが突っ込んできてタクシーとぶつかりバイクのお兄さんは川に落ちたのを見た。と伝えても信じてはもらえませんでした。

少し怖さと不安を抱えたまま出かけ帰りにドライブをして帰宅することになりました。
普段なら行かない所にまで行こうか。ということで山道を通りドライブに出かけました。すっかり陽も暮れ真っ暗になりました。山道でカーブが続く中突然白いTシャツを着た男性が座り込んでいるのが見えたのです。近くにはバス停もなく家もなく本当に山道の途中で白いTシャツを着た男性が座っていたのです。

その男性の近くには車もバイクもなく運転途中で休憩している感じでもなく、トラブルで助けを求めている感じでもないのです。山道にいた男性は主人にも見えたらしく「こんな何もない所で車もバイクも何も乗り物が無いのもおかしい。もしかしたら見えてしまったのかもしれないね。」と車内で静かに言われ余計に恐怖感でいっぱいで１秒でも早く山を出ようと運転してもらいました。

その日は何も起きませんでしたが、今思えば昼間に私だけが見えた川沿いでのバイク事故のお兄さんと夜の山道で見てしまった男性は同じ人なのかな。とさらに恐怖に包まれてしまいました。幽霊が苦手な私は本当に震えが止まりませんでした。

後日から金縛りに毎晩のようにあい首を絞められる苦しさで寝れなくなり、夫の友人で霊感がある方に部屋を見てもらうと、この部屋には強い霊を感じる。と言われました。あの日私だけが見えた男性の霊ではないと思いますが毎晩苦しく怖いので引っ越しをすることにしました。結局私がみたバイク事故はなんだったのか分かりません。夜の山道で見かけた男性もなんだったかわかりません。金縛りの正体も分からないままです。霊感がない私が見えたものは一体なんだったのでしょうか。