ムシクイ地蔵さん
投稿者:ぴ (414)
私の地元には「ムシクイ地蔵さん」と陰で呼ばれているお地蔵さんがあります。
本当は長ったらしい別名があるらしいのですが、そのお地蔵さんはいつからか「ムシクイ地蔵さん」と付近の人に呼ばれるようになりました。
本当に最初は何の変哲もないただのおじぞうさんだったらしいです。
しかし、近くの村の人が貧困でこのおじぞうさんにお供えをできなくなってしまいました。
それを嘆く親や村人たちを見て、ある男の子が代わりに虫の死骸をお供えするようになったのです。
どうして虫の死骸だったのかは分かりません。
でも男の子にとってはそれは決して嫌がらせなどではなく、せめてもののお供えの代わりのつもりでした。
そんな中で、男の子の親はある日貧困の影響で、重い病にかかってしまいました。
男の子はその日も虫の死骸を供えて母親の命を助けてほしいとおじぞうさんに願ったんだそうです。
そしたら数日後に母は病気が嘘のようにピンピンして元気を取り戻しました。
それから1年ほど経った頃でしょうか。
母が突然吐き気を催し、「げぇ」っと吐いたら、胃液と一緒に大量の虫の死骸が出てきたのです。
男の子の母はそれを見て発狂して、精神を病みました。
周りの人からは異形を見るような目で見られ、噂をされて、棒切れのように瘦せ細ってぽっくりと亡くなってしまったそうです。
それからムシクイ地蔵に虫の死骸をお供えすると、嫌いな人を呪い殺せるという噂が立ちました。
そして実際に人を呪い殺した人がいると聞きます。
私はさすがに不気味すぎてこのおじぞうさんに何かを供えたことがないのですが、一度ムシクイ地蔵さんの前に大量のこおろぎの死骸がお供えされているのを見たことがあります。
見た瞬間に背筋が凍りました。
その人は一体だれを呪ったのか、そして呪った相手はどうなったのか今も気になります。
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