ガラスを叩く音
投稿者:剛毅 (5)
これは私が大学生だった時に体験した話です。
当時、某ハンバーガー店でバイトをしていました。
その店でバイトを始めて2年くらい経っており、仕事にも慣れてきて、1人で閉店作業をすることも多々ありました。
閉店時間は深夜2時で、忙しさにもよりますが、おおよそ3時くらいには閉店作業を終わらせていました。
連勤で疲れていた私は、早く仕事を終わらせたくて急いで閉店作業をしていると、突然、「ドンドンッ!」という何かを叩くような音がしたのです。
私は跳ね上がるくらい驚きました。
「お客さんかな?」
閉店しているので、自動ドアは開かないようにしてあります。
店の出入口を見てみますが誰もいません。その店は車通りはあるものの、人通りは全くない場所で見通しもいいので隠れる場所はありません。
気のせいかな?外で何かあったのかも、と思い仕事に戻ることにしました。
私の働いている店は全体がガラス張りでできており、店内から外を見ることができます。
しかし、閉店した時にロールカーテンをおろしているので、出入口以外は外の様子を伺うことができません。
気のせいだよね。
自分に言い聞かせて作業を始めた途端、
ガンガンッ!
「うわぁ。」
驚きのあまり情けない声をあげました。
その音はとどまることなく、
ガンガンガンガンガンッ!ガンガンガンガンガンガンガンッ!
窓ガラスが大きく揺れています。
誰かが外からガラスを叩きながら走っているかのように、音とガラスの揺れが移動していきます。
その音と揺れは次第に大きくなっていき、出入口の方に移動していきます。
私は出入口を見ました。出入口はカーテンがかかっていないので、イタズラなら誰かがガラスを叩く姿が見えるはずです。
その瞬間です。出入口には誰の姿もありません。しかし、出入口に差し掛かったところで、
バンッ!
と、今までで一番激しい音で叩かれると、また
ガンガンガンガンガンッ!
と、店を一周していったのです。
その後は何事もなかったかの様に無音になり、そのギャップに耐えられなくなった私は、閉店作業を途中で切り上げて、逃げるように店から出ていきました。
翌朝に電話で店長に事情を説明し、それからは早い時間にシフトを移してもらうことにしました。
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