一瞬踏み入れた場所は別の世界?
投稿者:とくのしん (65)
社会人になり電車通勤していたころ、いつものように始発電車に乗り込み帰路についた。
乗り込んで5分もしないうちに眠ってしまうのが癖になっていたため、その日も例外なく眠りについていた。
目が覚めるとF駅を発車したところで、自分の駅まであと20分くらいだからあとちょっと寝ることができるな、などと思った。
5分くらいしてK駅に到着。
「K駅~K駅~」とアナウンスの声が耳に入ってくる。
あと15分~とうつらうつらしていた。
電車が発車し、すぐ隣の1分程度のKS駅に着いた。
プシューとドアの開く音と同時に薄目を開けると、降りるであろう数人の足が目に映った。
それから目を瞑り、動き出した電車に揺られながら自分の駅までの駅数をカウントしていく。
ここで寝ると寝過ごしそうだし、あと4駅・・・3駅・・・あと2駅となったところで、目を開けたときだった。
そこはまだ3駅手前のT駅。
きょとんとしてあたりを見回したが間違いなくT駅。駅名を知らせる電光掲示板もT駅となっていた。
目は瞑っていたが、寝ていたわけではない。
意識ははっきりしていたし、何がなんだかわからなかったが、そういえばK駅のとなりのKS駅がなんだかおかしかったことに気づいた。
駅に着いたときドアが開いたあと、駅名をアナウンスしていなかったことを思い出した。
降りるであろう数人の足は薄目ながら確認したが、そういえば足音は聞こえなかった。
もしかするとKS駅に着いたと思っていたが、その一瞬だけ別の世界に迷い込んだのか。
真相はわからないが不思議な体験だった。
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