霊体験か幻か………
投稿者:トルマリン (5)
私はグラフィックデザイナーとしてある制作会社に勤めていました。
この会社は広告代理店の下請けで深夜の打ち合わせや1徹、2徹、1週間家に帰れないこともざらでした。
その日も3日間会社に泊まり込みで作業をして、フラフラの状態で帰宅しておりました。
最寄りの駅から私のマンションまでは歩いて18分、かなり疲れていた私は深夜バスに乗り込みました。
自分の降りるバス停で下車したところ、マンションの芝生に白い塊が見えました。
私は「シーツが風で飛ばされたのかなぁ」とのんきに近づいて行きました。
よ〜くよ〜〜く目を凝らしてその白い塊を見るとそれは白い着物を着たお婆さんでした。
顔は向こうを見ていてよく見えないのですが、何故かおばあさんだと感じました。どれだけ目をこらしてもそのお婆さんの顔は見えません。
きっと痴呆症の老人が徘徊して寝てしまったんだと考え、なんだか嫌だな〜と思いましたが春先で肌寒いこともあり「大丈夫ですか」と声をかけました………。
「ヴァァァァァァァァァァァァァ」
この世の物とも思えない声を発しながらそのお婆さんが上半身だけ起こしてきました。
私は動転し硬直しながらその様子を見ることしかできませんでした。
そのお婆さんのが起き上がってきて最後にその顔が私の方を向きました。
その顔は………真っ暗ではなく、真っ黒でした。顔が全く見えないのです。
私は我に帰り逃げ出しました。その走る速さときたら………。
あれは霊体験だったのか疲れからの幻だったのか………今ではわかりません。
お疲れ様です