廃工場にいた「奴」
投稿者:ぞい (15)
短編
2022/03/16
21:46
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小学生の時に友達と廃工場に入った時の話です。
工場には鍵がかかって入れないけれなかったので、広い敷地内で追いかけっこをしていました。
すると、外から「こら!」と声がしました。おじさんの声です。
私たちは慌ててましたが、塀を乗り越える為に持ってきた梯子は外にあるので、どうしようもなくて立ちすくんでいると、おじさんは重い扉の鍵を開けて「お前ら、出ろ!」と怒鳴りました。
「まったく、声がすると思ったら、中に入るとは!しかも梯子なんか持ってきて!」
私たちは怒鳴るおじさんを前に萎縮していましたが、おじさんは私たちの方は見ていません。
「お前らとなり町の◯◯だな?お前は◯◯だろ!」
おじさんは私たちの名前を言いますが、全部違っていました。
それに私たちはこの町に住んでいました。
「とにかく親に連絡するからこっちにこい!」
おじさんは梯子を持って、廃工場を離れたんですが、小声で「振り返るなよ」と言われました。
廃工場からかなり離れるとおじさんは「大丈夫だったか?」と心配そうに言い出したんです。
「あそこに入ってはダメだ。お前達の名前を適当に言ったから奴に知られることはないだろうが、2度と近寄るんじゃない」
工場はしばらくして壊されましたが、あそこにいた「奴」ってなんだったのかはいまだにわかりません。
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