呼ばれる公園

僕の母方の実家は北海道の奥尻島にあります。
僕が小さい頃、よくお盆に帰省していたのを覚えています。

おばぁちゃんの家か少し歩いたところに階段があり、小高い丘を登ると小さな公園があります。
大した遊具もないのに公園でしたが、お盆に帰省しているいとこ同士でよく遊んでいました。

その公園は必ず変な事が起こりました。
変な事とは公園を出る最後の一人に必ず「したっけ」と聞こえるのです。
その声はいとこ同士で有名な話になっていました。

そして僕が小学校を卒業する辺りから両親が忙しかったからか奥尻島に帰省することはなくなりました。
しかし、昨年にばぁちゃんがなくなり数年ぶりに奥尻に帰省しました。

数年ぶりにいとこにも再会して昔話に夢中になっていると、あの公園の話になりました。
いとこが「あの、したっけってどんな意味なんだろうね」と聞いてきましたが、僕たちには見当もつきませんでした。

しかし、北海道出身のいとこがこの話を聞いていたらしく、したっけの意味を教えてくれました。
「したっけ。って北海道では、またね、ばいばい、また今度、って感じで使うよ」というのです。

あの公園には、僕たちの知らないもう一人がいたのかもしれません。ちなみにその公園は津波などの災害の時の避難場所でした。