ウェディングドレス
投稿者:くやり (24)
短編
2022/03/13
18:01
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私はウェディングプランナーとして働いていたことがあります。
数年前、あるカップルの結婚式を担当することになりました。お二人ともまだ若く希望に満ち溢れた、実にお似合いのカップルでした。
打ち合わせは順調に進み、挙式が一週間後に迫った春先、新婦さんになるはずだった女性が突然の事故で命を落としました。
新郎さんの動揺と悲嘆は痛ましい限りで、かける言葉も見当たりません。新婦さんが亡くなったため、当然の如く式は中止されたのですが……。
その後、新郎さんはご縁に恵まれて結婚することになりました。今度のお相手は専務の娘さんだそうです。私は担当を外れたのですが、一緒に打ち合わせに来られた二人はとても仲良さそうでした。
挙式当日……助っ人として披露宴会場に待機する私の前に、拍手喝采を浴びた新郎新婦が歩いてきました。花嫁さんは純白のウェディングドレスに身を包み、幸せそうに微笑んでいます。
キャンドルサービスの時間がやってきました。明かりを落とした会場をトーチを持った二人が回っている時、衝撃的な光景を目の当たりにしました。花嫁の背後に新郎の元婚約者がたたずんでいるのです。
あっ、と叫ぶも時既に遅く、トーチの火がボッと膨らんでウェディングドレスに燃え移りました。
花嫁さんは顔と体に大火傷を負い、半年後には離婚したと聞いています。
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