そこは…
投稿者:りんたろう (1)
短編
2021/01/12
00:35
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もう大分昔の実話。
サークル終わりにドライブするのが好きだった。
元気が有り余ってて何だか帰りたくない時に行くんだけど、必然的に夜中になるので勿論自分ひとり。
その日は国道を延々と北上して行った。
家とは真逆の方向なので、1時間ほどドライブを楽しみそろそろ休憩がてら引き返そうと思った。
のだと思う。
ここがミソなんだけど、何となく自然に左折したくなって曲がったわけ。
で、そのまま道なりに進んだ。そしたら坂を登りきった暗闇の左側にぽっかり口を開けた門扉があって。
不思議なんだけど吸い込まれるように中に入った。郊外の高台なのか、街灯も何も無く真っ暗な駐車場で、取り敢えず車を止めて缶コーヒー飲んで一服してた。
ライトを消すと本当に真っ暗だったから点けたまま。照らし出された先に浮かぶ無機質なコンクリート壁をボーっと眺めてた。
冬だったから暖気運転したままだったけど10分ほどして急にゾクっと寒気がして。別に不思議とも思わずに帰ろうと思って車をノロノロと動かし始めたんだよね。
あの門扉を再び通り抜けた時、そう言えばここ何処なんだろうとふと振り返った。
門扉脇の塀には重厚な門札があって。
「斎場」だった。
もしかして呼ばれたのか…?
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