笑い声

先日、私は実家に帰省していた。
大掃除の話になり、母が掃除をしていたら私の小さい頃のビデオを見つけたからと言って色々見せてくれた。
その中に私が1人でひたすらくだらないギャグをカメラに向かって言っているビデオがあった。
子供の頃の私の将来の夢は芸人だった。ビデオは、自作のネタを1人で披露している私を収めたものだった。

「まじでつまらないギャグなのにめっちゃウケてんじゃん！」

と私が言うと、母は少し固まって私に告げた。

「この動画、確かあんたが誰にも見られたくないからって言って勝手に1人で撮ったやつよ」

おかしい。ビデオには確かに、私がネタを言うと1人、高らかに笑ってくれる男の声が入っていた。