2階に居たのは母…じゃない…?
投稿者:りー (118)
短編
2022/01/09
08:50
1,183view
あれは私がまだ小学校低学年の頃でした。
当時の私はお転婆で学校が終わったらすぐ外に遊びに行ってしまうような子でした。
その日も日暮れまでたっぷり遊んで家路につくところでした。
我が家が見えて来てふと2階の窓を見ると誰かがジッとこちらを見ています。
女性のようだったので母だと思い笑いながら手を振りました。しかし母はこちらを見るばかりで一向に手を振り返してきません。
優しい母でいつも気に掛けてくれる為、正直アレ?と思いました。何か怒らせるような事でもしてしまっただろうか。
急に不安になって恐る恐る玄関を開けると「もう、遅いじゃない!心配したんだから」といつもの調子で母が出迎えてくれました。
すっかり安心した私は思わず母の胸に飛び込み先ほどなぜ手を振り返してくれなかったか問いただしました。
母は首をかしげずっと夕飯の準備をしていたから1階のキッチンに居たと言うのです。
私はハッとしました。
確かに母はいつもこの時間1階にいるではないか。
では先ほど2階に居たのは誰だったのか。ゾッとして背筋が凍りました。
事のあらましを母に伝えると笑いながら何かを見間違えたのだと言います。
念のため母と一緒に2階に確認に行ったら案の定誰もいません。
ほらね?と得意気に言う母とは対照的に私が見たあの女性は誰だったのか、何を伝えたくて私を見ていたのか解けぬ疑問にまた背筋がゾッとしたのでした。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 8票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。