一人暮らしを始めて三日目の夜だった。
古い木造アパート。家賃は安いけど、駅から近い。それだけで決めた部屋。
その夜、布団に入った瞬間に気づいた。
押し入れの中から、**コツン**って音がした。
木が鳴るような、小さな音。
「古いしな…」
そう思って目を閉じた。
—
**コツン。**
今度は少しはっきり聞こえた。
しかも、押し入れの「奥」から。
襖のすぐ向こうじゃない。
もっと奥。壁の向こう側みたいな位置。
息を止めて耳を澄ます。
……シン、と静まり返る。
気のせいだと思おうとした、そのとき。
**カリ…カリカリカリ…**
引っかく音。
内側から。
押し入れの、内側から。
—
怖くなって、スマホのライトをつけた。
ゆっくり立ち上がる。
襖の前に立つ。
心臓がうるさい。
手をかける。
開ける。
――何もない。
布団と、段ボール箱だけ。
ほっとして襖を閉めようとしたとき、気づいた。
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