友達のかなこちゃん
投稿者:きぃ (4)
わたしが体験した話です。
小学校に入学したばかりのころ、あまり学校に馴染めず、浮いていたわたしは友達もできずに一人遊びをするばかりの子供でした。
両親は共働きで家にはおらず、祖母がわたしの面倒を見てくれていましたが、自宅で仕事をしていたため、なんとなく居心地が悪くなったわたしは近所の公園に遊びに出るようになりました。
その公園は遊具も少なく、人もほとんど来ることはありません。
次第に誰に気兼ねすることもないその空間がお気に入りの場所になりました。
いつも通り公園で遊んでいたとき、
「いいなあ、かわって」
と、可愛らしい声が聞こえました。
そこには声同様可愛らしい容姿の小さな女の子が立っています。
「ブランコ乗りたいの?」
「かわって」
ブランコはもう一つあるのに…
と不思議に思いながらも、乗っていたブランコから降りると、
女の子は嬉しそうにわたしのかわりに腰掛けました。
小さい体で一生懸命にブランコを漕ぐ女の子は、わたしよりずっと小さな存在に感じます。
妹ってこんな感じなのかな…
その後も公園でその女の子に度々遭遇することになりました。
買ってもらったばかりのゲームをしていた日もその女の子は現れ、
「いいなあ、かわって」
と、声をかけてくるのです。
今思えば、図々しい子だなとも思うのですが、当時のわたしはなぜかそれが心地よくて、嬉々としてゲームの操作方法を教えてあげていました。
自分がお姉さんになったようで、気分が良かったのでしょうか。
他の子だったら貸すのを嫌がるはずなのに、その子の「かわって」は嫌な気がしないのです。
「かわって」とおねだりする女の子とわたしは友達になりました。
少なくともわたしは仲のいい友達だと思っていました。
女の子の名前は「かなこちゃん」
そう記憶しています。
しばらくの時間が経ち、進級したわたしは学校に馴染めるようになり、友だちができました。
お気に入りの場所だった公園にもあまり通わなくなり、かなこちゃんとも会うことがなくなっていきました。
それから長い年月が経過し、わたしはもう社会人となっていました。
小学校に上がったばかりの思い出は、他の様々な記憶に押しつぶされて、表に出てくることはなかったように思います。
怖かった!かなこちゃん人懐っこくて可愛い子だなと思っていたら最後のかわってがとっても怖かった!