小学3年生ごろのことでした。
そのころ、私は母親の都合で、それまで一緒に住んでいた祖母がいる家を離れ、同じ町内の別の住居に住むことになりました。
祖母の家に住んでいたころは、黒の柴のような雑種を飼っていましたが、家を離れても一緒に連れて行ってやれませんでした。
ただ、学校が終わってまずは祖母の家に帰り、母が迎えに来て、別の家に帰るようにしていたので、犬の散歩は連れて行ってあげていました。
とはいっても、一緒にいてやれる絶対的な時間は減ったので、大変心苦しかったのをよく覚えています。愛犬は非常に私になついていて、いつも何か会話をしているように、愛犬の気持ちがよくわかりました。
そんな愛犬がある時の夏、フィラリアになってしまいました。とはいっても、ご飯はそこそこ食べるし、しっかり散歩も楽しんでたので、フィラリアを理解できていなかった当時の私は心配していませんでした。
あるとき、散歩が終わって別の家に帰り、お風呂に入ったとき、何か胸騒ぎがしました。すごく愛犬に会いたくなったのです。
その日はとくに異常もなかったのですが、何か無償にあってあげたい、いや、会ってあげなければ、という気持ちになりました。母親に何度もこの気持ちを伝え、渋々了解を得て、車で祖母の家に向かいます。その間も、何かモヤモヤというか、早く行きたいという気持ちでした。
祖母の家に着き、愛犬のところに行くと、愛犬はぐったりしていて息も絶え絶え。祖母も含め、誰もこの状態に気付いていませんでした。
結局愛犬は、その日私の腕の中で死んでしまいました。
当時は毎日泣きましたが、大人になった今、なぜあの時胸騒ぎがしたのか不思議に思います。まさに虫の知らせという言葉を体現した経験でした。
愛犬が自分の最後を虫に伝えてくれたのか分かりませんが、最後の死に目にいてやれたことは、良かったと今では思っています。
切ない