一本の長い白髪
投稿者:ヒムカイ (1)
私が単身出張で、島根県松江市のとある安いビジネスホテルに宿泊した時の奇妙な体験談です。
ワンルームマンションを改築したような間取りのホテルでした。
部屋は5階、入室すると真正面に窓があり、耐震補強の鉄筋が斜めにはられ、窓は開閉できない状態で薄暗く、どこか陰湿な雰囲気の部屋でした。
仕事を終え、ホテル近くのスーパーで夕飯を調達しチェックインしました。
その日は知らない土地を歩き回ったせいもあり、持参した湿布を脚に貼り、早々に就寝しました。
恐らく夜中の1時半頃だと思います。悪夢で目が覚めました。
悪夢の中で私はベッドに横向きで寝ていました。その目の先には入口の扉があり、その扉にはダーツボードにも似た円形の板がついていました。その板には時計の針のようにグルグルと周る2本の矢印があり、その矢印が時計の0時で重なった時です。
バーンという大きな音を立て、すさまじい勢いで扉が開き、長い白髪の老婆がロケット噴射のような勢いで私に向かって飛んできたのです。
その老婆は寝ている私の上に四つん這いで乗っかり、丸い大きな目で睨むように凝視していました。
あまり突然の衝撃的な出来事に、私は夢の中で叫び声をあげていました。
その実際の自分の悲鳴で目が覚めたのです。
その後の記憶が定かではないのですが、朝に再度目覚めた事を考えると眠りについたのでしょう。
何とも言えない気分の悪さで早々にチェックアウトしました。
自宅に戻り、荷解きしながら「あの夢は、やけにリアルだったけど何だったんだろう。きっと凄く疲れていたんだな」と自分を納得させ、冷蔵庫に湿布を保管するのに残量をチェックした時です。
私は恐怖で身体が凍りつきました。
持参していた湿布のパウチの中に、ある訳のない一本の長い白髪が入っていたのです。
私は白髪一本もない黒髪なので、未だにその白髪がどこから紛れ込んだのかは説明がつきません。
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