彼女のおじいさんが夢枕に立つ
投稿者:木曜どうでしょう (3)
24歳の時のことですが、私は初めて彼女ができ、付き合い始めてから半年が経過したときに彼女のおじいさんを紹介されました。
気さくなおじいさんで月1回程度に家に遊びに行き歴史好きな私にとってはおじいさんの戦争での体験話はすごく勉強になりましたし、興味を持って聞いていました。
おじいさんがしばらくしてからガンに侵され、療養生活を余儀なくされていました。入退院を繰り返していましたが、退院すると彼女と3人でよく温泉に行きました。
それと同時に私の母も病気となり、私が実家に帰り戻ってくると母の様態を心配してくれたりと親身になって私の身を案じてくれました。
しかしそのおじいさんも徐々に病魔が襲い入院の期間が長くなりました。病院に見舞いに行くと日増しに悪くなっているのが分かりましたが、それを表情に出さないように
しました。
彼女の母親に会ったのも病院が初めてでしたが、その時の私に対する態度が非常に感じが悪かったので、しばらく行くこともなく結局そのまま亡くなってしまいました。
葬儀には私も駆けつけ、その時には彼女との結婚も視野に入れていたので、ご親族の人にもそれを伝え最後の別れをしました。
ただおじいさんが亡くなった日に私は仕事のためになかなか連絡が取れずに彼女と喧嘩をしてしまっていたので、葬儀の日に私は告別式終了後には家に帰りました。
そしてあまり寝ていなかった私は部屋の電気をつけっぱなしのまま寝てしまっていました。
そして夜になったかと思われた時間帯に突然電機が消えた感覚に襲われて、うつ伏せ状態だった私は寝返りをしようとしましたが体は動きません。
すると布団の周りを人が歩いていました。そしてテレビはつけてはいないのですが、あたりは群衆の声のような賑やかさで私は驚きました。
しかし体は固まったような感覚で動けず、ひたすら驚きで時間が過ぎるのを待つような感覚でした。
そのうちに私の周りを歩いている人から一言「ありがとう」と聞こえました。
そして金縛りは解け意識が戻ったかのような感覚で寝返りができ、しかも電気はついていました。
これはきっとおじいさんが夢枕に立ったんだと思いました。後にも先にも人が夢枕に立つのはこの時だけでした。わずか1年足らずの出会いでしたが、最後に私に挨拶をしてくれた意味をしばらく考えていたことを覚えています。
めっちゃ良いおじいさんで良かったですね。