私の中学校があった場所の恐ろしくて悲しい秘密
投稿者:睦 (6)
これは私が通っていた中学校であった出来事です。
私は部活の時間に、必要な道具を取りにいくために、数名の部活仲間と一緒に体育館の倉庫に入りました。
しばらくの間倉庫を物色していたのですが…、突然、
「ガタガタガタッ!」
という音が聞こえたのです。倉庫の物が倒れたというわけでもなく、音の発生源は天井裏のようです。
ビックリした私たちは、悲鳴を上げて大慌てで倉庫から逃げました。
「あれは何だったんだろうね?」
と、その日の部活が終わった後にみんなで盛り上がりましたが、しばらく時間が経ってみんな冷静になっていたからか、倉庫が薄暗かったことや、突然大きな音が鳴ったせいで怖く感じただけで別に大したことはないのでは、という結果に落ち着きました。
後日、私は部活のない日に学校に残り、部活は違うが仲の良いクラスメイトと雑談していました。その中で倉庫で聞こえた大きな音の話をしたのですが…。
ちょうど用務員のおじさんがその場を通りかかりました。
彼はとても気さくな人で生徒たちからは人気で、私も何度か会話したことがあります。
用務員のおじさんは話を聞いて、
「幽霊かもねぇ」
と会話に割り込んできます。いつもと変わらぬノリの良い感じだったので、私はからかわれたと思い、
「どうせ気のせいだってば、からかわないでよ!」
と言いましたが、
「だってこの周り、アメリカの兵隊さんが沢山亡くなった土地だし。俺も霊感が特別強いわけじゃないけど、夜に見回りをしている時に見たことあるよ。日本人じゃなくて、外人っぽい兵隊さんが廊下を歩いてるの。あの時はさすがの俺でも怖くてその場を離れちゃったよね」
…中学校ができる前にそんなことがあったのか?怖い話ではよく「戦時中の日本兵の幽霊が出る」なんていう噂話は聞くけれど、アメリカの兵隊さん?
私はさらにからかわれたのか、実話なのか疑問でしたが、彼はすぐに去ってしまったのでその場では聞けずじまいでした。
用務員さんの言葉が本当だったと分かったのは数日後の社会の授業です。
授業の内容は歴史で戦争の話でしたが、よく戦争系の怪談で聞くような世界大戦のことではなく、ベトナム戦争のことでした。社会の先生は戦争の概要を説明しつつ、私の通う中学校の歴史を話してくれました。
ベトナム戦争があった当時、私たちの中学校のあった土地は米軍のキャンプと野戦病院があったのだそうです。
用務員さんのアメリカの兵隊さん、という言葉は嘘ではないとわかりました。
そして、戦争が激しくなってくると負傷した兵隊さんが多く病院に運び込まれ、そのままアメリカの地を踏むことなく亡くなってしまった方も多かったのだそうです。
その後米軍は撤退し、キャンプの跡地は広い空き地になりましたが、そこに中学校が建てられました。
授業のあと、用務員さんを見つけて聞いたばかりの内容を話し、彼の話を疑っていたことを謝りました。
「な、本当のことだろ」
と用務員さんは言いました。
「野戦病院自体は中学のある位置より少し離れたところにあったみたいだけど、たくさんの兵隊さんが死んでいったことに変わりはない。未だに国に帰れず、無念な気持ちをを抱えたままの人が、そのことに気づいてほしくて出てくるんだろうね」
そのときの用務員さんの言葉は今でも覚えています。
怖かったとともに、戦争の虚しさを感じて少し悲しくなるような、そんな出来事でした。
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