立つだけのバイト
投稿者:釣瓶落 (1)
「なんだよこれ…」
鏡越しに自分の背中を見たときに本当に誰かに刺されたような跡ができていたのだ。
血は出ていない。
しかし、刺されて治った痕のようなものができている。
俺は怖くなった。
しかし、どうすることもできない。
そして、それからしばらくの間俺は毎日同じ夢を見るようになった。
そうなると眠るのが怖い。
眠れば毎回同じ公園に行って、同じように背中を刺される。
このままではどうにかなりそうだった。
そして、体調を崩して家から出れない日々が続いた時だった。
プルルルー、プルルルル。
電話だ。
液晶を見ると母親からの電話。
一人暮らしをして、ほとんど電話をしなくなっているため俺は何だろうと思いながら電話に出る。
母親の声を聴いて安心したかったのもあるかもしれない。
「もしもし?あんたなんかあったでしょ?」
「あんたが夢に出てきて毎回女に刺されてる夢を見るよ!詳しく話してみ」
母親は冷静にだが心配しながら俺にそう言ってくれた。
俺はなんでそのことを知っているんだと思いながらも、誰にも助けを求められなかったため、そのバイトのことを教えた。
「そんなバイト怪しいに決まってるでしょ…あんたはバカだね」
母親はあきれたように怒る。
「でも金が欲しかったんだもん」
俺はもう母意外に頼れる人はいないと思って、観念した。
「すぐに帰ってきな!おじさんに頼んだるわ」
母はそんなことを言った。
うちの母親の実家は坊さんをやっている。
そして、俺のおじさん。
つまり母親の兄はその坊さんを継いでおり、現役の住職だった。
何かしら祓ったりすることができるかもということなのだろう。
とても強い呪いだよ(‥;)相手には倍の呪いが返ってるだろうね(..;)