「僕のセイバータイガーの爪返してください」

その日は友人と約束をしていてかなり遅く帰宅んしたんですが

玄関のドアノブにまたビニール袋がぶら下げてあり

またか？と思いながらビニールを持ち上げるとずっしりと重く弁当箱のようなものが見えました

なんだこれと弁当の中を開けるとなんとも言えぬ食物が腐った匂いがむあっとして

糸を引いたのり弁みたいなものが出てきました

さすがにゾッとした私は

すぐさま大家さんのところまでいき事情を説明することに

最初こそ私の剣幕に驚いていた大家さんでしたが

「でもたまたま腐っちゃっただけで謝罪の気持ちなのよ」

とか

「こういう形でしか表現できない子なのよ」

と見当違いの言葉を返してきました

あまりに煮え切らない態度に思わず私は

「いやこれ以上こういうことが続くなら警察に相談します」

と伝えると

「わかったわ、私から伝えておくから落ち着いて」

と宥められ

その日は仕方なく部屋に引き返すことにしました。

翌日の朝のことです

早朝にインターホンが鳴らされ

大家夫婦が訪ねてきました。

「清ちゃんの件でね、お母さんが正式に謝罪したいみたいで彼女のお家に呼ばれてるの」

開口一番奥さんは私に言いました

「えっ？私が行くんですか？」

なんで被害者の私がいちいち加害者宅まで行かなきゃならないのかと思う私の気持ちに気付いたのか

「ごめんねえ　なんだか自宅での仕事でどうしても家から離れられないらしくて」

「今日で二度と今後こういう事が無いようにするから、誠心誠意会って謝罪したいって」

立て続けにこう喋り続けました。