家の前にいる
投稿者:クーワ (4)
ささっと買い物を済ませ、家に戻るまでの間、
他の部屋の住民とは誰とも会いませんでした。
部屋に戻り、さて晩酌でもしようかというところだったのですが、なんとなくもう一度モニターで家の外を見てみることにしました。
モニターのボタンを押し、すぐに後悔したそうです。
黄色い服の女が背を向けて立っていました。
父は家に帰ってくるまでの間、住民には誰にも会っていません。
家に入ってから鍵を閉め、手を洗って部屋に戻り、モニターを確認するまでの時間はおよそ1分ほどだったといいます。
どこかに隠れていたのなら不可能ではないが、流石に怖くなってきました。
私だったらそんなことはしませんが、父は警察に電話する準備だけしながら、一声かけてやろうとモニターの音声ボタンをONにしました。
まずモニターをONにし、この音声ボタンをONにして初めて、外の音とこっちの音がお互い聞こえるようになるというシステムでした。
声をかけようと音声ボタンをONにした途端聞こえてきたのは、謎の轟音だったそうです。
ゴオッと暴風が吹くような音、ガラガラと何かが崩れるような音、とにかく只事じゃない音が聞こえてきました。
モニターに映る女は全く動かず、背を向けたままです。
女の姿に変わりはないが、外の光景が異常に赤かったそうです。
驚いた父はモニターを切りました。
この音はなんだ?この色は火事?そんなはずはない、さっきまで出かけていてそんな様子はなかった。
それにモニターを切るとそんな音は全く聞こえません。
何を、映しているんだ…?
流石に恐怖を感じたそうですが、もう一度モニターだけONにしました。
次に見えたのは真っ暗な外に女が倒れている姿でした。
怖い、と思いつつも、放っておくのも問題だと思った父はドアを開けてしまいました。
異常に背の高い女が、目を見開いて立っていました。
黄色いコートに、赤黒いシミがついている。
声も出ない父に、低い声で一言だけ。
「早く開けろよ!!!!!!!!」
その後 バツン と何かが切れる音がして目の前が暗くなり、気づいたら家の中、玄関で父は座っていたそうです。
はっと気がつきドアを見ると鍵は閉まっており、自分の身にも何事もなかったようです。
酒を飲み、すぐに寝ようと思った父ですが、その日はなかなか酔えなかったそうです。
全体的にとても怖い。
それはそれとして件の女性幽霊(?)の魂の叫びが妙に可笑しい。
“深夜にしつこくドアをノックされるのに確認すると
外には誰もおらず、実はオバケが内側から叩いていた”
という話と同じくらい怖いです 防犯カメラは異常事態に
限らず、面識の無い人間が写っていても充分に怖いです