仕事で車を使うことが増えて、知らない地域に行くもんだから毎回ナビ使ってるんだけど、たまにナビが怖い時がある。
今の車のナビの音声は声高めの大人の女性みたいな音声なんだけど、たまに声色が変わったり、途切れたりする。
途切れるのはまあタイミングの問題とかがあったり、声色が変わるのは地域の名前の発音的にそう聞こえるだけかなとか思うようにしてるんだけど、特定の地域に行くと声がだいぶ低い、少し怒ったような女性の声になる時があるから怖い。
途中まで普通の紺色なのに特定の地名言う時だけ低い声に急に切り替わるから実際聞くと結構ゾクっとするんだ。
まあでも、機械音声だし、毎回そうなるからそういうものとして捉えてるんだけど、前に一度だけそういうものとは違う少し怖い体験をした。
その日は県南から県央を経由して県北まで行き、また県央に戻ってくるという感じで、長い距離の運転をした。
150kmくらいかな、帰路に着く頃にはだいぶ疲れていたんで、どこかコンビニでもスーパーでもいいからおやつでも買って少し休んで戻ろうと思ってた。
ただ、その地域があんまり店が多くはなく、潰れたガソリンスタンドとか古い店が見えるけど大きな商業施設とかは無いところだった。
スマホの地図アプリで近くの店を調べた時に、一応弁当とか買い物はできそうな店が出てきたんで、その住所をナビで入力してみた。
案内が始まり、10分かからないくらいで到着すると表示が出た。
買いたいものを考えつつ走らせてたんだけど、ナビがかなり狭い道を通らせようとする。
まあ車通りも多く無いし別にいいかと、指示通りに向かって行ったんだけど、残り1分で着くくらいのところで行き止まりに当たってしまった。
道の先に民家と思われる二階建ての建物が見えるんだけど、流石にこれは店じゃ無いよなぁという外観。仕方ないから戻ろうと思って少し移動したんだけど道をずれるといつもは別のルートを案内してくれるナビが、新しいルートを案内してくれない。
たまに ポン と音がするけど何も言わない。
もしかしてあそこが店で、この道以外にルートはないのか?それとももう店自体潰れて無くなったのかな?とか考えながら、仕方ないのでぐるっと外周してまた同じ道に戻ってきた。
そして、さっきも通った狭い道に入ろうとしたタイミングで、ナビが喋った。
「この先、右方向 はしくび です」
何それ、と思いながらも少しの間狭い一本道だから、またあの家の前まで行ってみた。
今度は、家の前あたりで
「まもなく 目的地周辺です ナビガイドを終了します」
あれ、さっきはこうならなかったのになぁと思いながも、民家みたいな店である可能性に賭けて車を止めようと寄せた。
「まもなく 目的地周辺 むじゅう(うじゅう?)」
ナビが喋った。
普通は一度目的地に案内されるとそれ以降は音声は流れない仕様のはずなんだけど、確かにそう言った。
はっきり聞き取れなかったけど、いつもの音声で、 ムジュウ と案内をしたように聞こえた。
こんなことは初めてだったのでちょっとびっくりしつつも、車のエンジンを切って外に出てみた。
やはり近くまで行ってみても、どうみても民家。しかし人が生活してるようには見えない。
2階の窓なんか開けっぱなしで若干割れてた。
表札もあり、名前はここには書けないけどフルネームで書いてあった。

























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