近所の宗教おばさん
投稿者:6 (10)
あれはもう20年近く前の事になります。
当時私は両親とも他県へ仕事に行ってしまい親戚のおばさんの家に居候していました。
おばさんの家はお金持ちで旦那は単身赴任で小学生くらいの息子さん(A君とします)と私の三人で気を使う事なく生活していました。
当時の私は部活に打ち込み高校推薦も決まっていたので気ままでした。
だからあんな余計な事に首を突っ込んだのでしょう…
私の近所には古アパートに出入りしている通称宗教おばさんと呼ばれる人がいました。
髪はボサボサの長髪、服装は薄汚く常にニヤニヤして独り言を呟いてる不審者の見本みたいな中年女性でした。
完全に時代錯誤な昭和スタイルで大柄な体格なため遠くからでも分かりました。
しかしその宗教おばさんは私が世話になっているおばさんの姉妹だったのです。
確かにいつも笑顔なおばさんと印象はまるで違いますが容姿はよく似ています…
そのため友人達と一緒でない時はすれ違いに会釈くらいはしていました。
だんだんわかってきたのですが宗教おばさんは正確にはアパートの住人でなく管理人のようでした。
地方から出てきた後いつのまにか持ち主の老夫婦に取り入り今の立場に収まったと聞きました。
彼女の部屋には何度かA君と一緒にお邪魔しましたが所狭しと御札が貼ってあり大小様々な仏像のようなものが飾ってありました。
正面から見ると観音像ですが背面から見ると蛸のような禍々しい形をしていたと記憶しています。
話は変わりますが私は自分の家系のルーツを知りたいと思うようになりました。
そういった年頃のせいだったと思います。
何せ私も当然ながら二人のおばさん達の家系なのですから…
確かに私は彼女達同様長身ですが痩身でもありショートカットです。眼鏡もかけ見た目のイメージはかなり違うと思います。
A君は実年齢は私より上でした。
何らかの成長障害だそうです。
更におばさんでなく宗教おばさんの子どもだそうで、だから子を取られて病んでしまったとか…
中学最後の夏休み、私は二人のおばさん達の地元を訪ねる事にしました。
おばさんはやや難色を示し結局A君と私二人で電車に乗り継いで1日がかりで到着しました。
初めてに近い旅行だったので車内では少し興奮気味でしたが寂れた村の風景に少し気分が落ち込みました。
駅には迎えの人が来てるはずです。
○○ちゃん?の声で振り向いて一瞬固まりました。
あの、宗教おばさんが居たのです!
正しくは親族の方ですが…
A君はいつも通り玩具片手に無邪気に自分の世界に浸っていました。
まあ、遠いとこからよくいらっしゃって…中学生なのに偉いわねえ、との声で我に返りました。
別に怖くないんだが…
デカい、吊り目、馬鹿じゃないけど創造性に欠ける、かの国とは?