それから渓流の捜索が開始された。
彼女も何度も同じ質問をされてうんざりしたが、母親と一緒に捜索する様子を遠巻きに見ていた。
何事かと退屈を持て余した年寄りもやって来た…
もし事故かなにかで流れてくるとしたら、人間がつっかえそうな箇所に当たりをつけることは可能だった。
しかし、やがて応援でパトカーがやってきて、警官三人で範囲を広げて探しては見たものの結局何も発見できなかった…
そうなると、彼女の母親はちょっと気まずくなってくる。
幼い子供が発見者だし、見間違いで片付けられそうな雰囲気になったそうだ。
彼女はあとから来た別の警官にもまた事情を聞かれて辛くなった。
その時に助け船を出してくれたのが、野次馬で来ていた洋品店のおばあさんだった。
洋品店といっても田舎に多い、食料品や日用品も売っているよろず屋みたいな店だ。
「お巡りさん…その子は嘘をいってないよ」
警官の六つの目がおばあさんを捉えた。
「もうずいぶん前になるけどなぁ…この子と同じことを言った子供がいた。」
「ずいぶん前ってどのくらいですか?」
「何十年も前だよ…その時もこんな感じで探したけど見つからなかった…なんでかはわからんよ…ただ、その子が見たのはおそらく本当だよ…」
警官らが顔を見合わせていた。
疑ってるのではなく単純に対処の仕方に困ったのだろう。
とりあえずはそのおばあさんの言葉で一旦幕引きとなった。
その晩、彼女は母親と一緒に買い物がてら洋品店に出掛けた。店は七時までやっている。
母親としては助け船を出された心境だったからお礼も言いたかったのだろう。
彼女を一瞬でも疑ったことを恥じたのかはわかないが、いつもより高いアイスやお菓子を買ってくれたそうだ。
彼女が流れてくる男を見たのは後にも先にもそれっきりだそうだ。
最も怖くてしばらく近寄れなかったそうだが。
彼女が住んでいる家は死んだ父親の実家だった。
母親は嫁に来ているのであまり昔のことは知らない。
父親が生きていたら尋ねられたのにと思ったそうだ。
その話を何かの折に母親に漏らしたら、それなら静ちゃんに聞いてみたらと提案された。
静ちゃんは亡くなった父親の妹だ。
彼女の叔母にあたる。
母親とも仲良しで、時折お土産をたくさん持って里帰りするサンタみたいな人だ。
彼女は名案だと思った…
























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