辺りはだんだん暗くなり始めていました。
普段なら絶対に引き返すところなのに、この日の僕はなぜか、神社へと続く階段を登り始めたのです。
登り始めてすぐに、木々や葉によって夕日の明かりが閉ざされました。
薄暗い森の中で、蝉がうるさく鳴いています。
その声がまるで警告音のようで、
「この先に侵入してはいけない」
と言われているようでした。
この時点で階段を登ったことをかなり後悔していた僕ですが、
「ここで引き返したらダサい」
という謎の意地に背中を押され、鳥居の前まで来ました。
下で見たよりも大きな鳥居には、中央に[○○○]と、おそらくこの神社の名前であろう文字が書かれていました。
鳥居をくぐると、目の前には小規模な祠がありました。
その祠は日本瓦で作られた入母屋造りの屋根で、正面にはしめ縄が付けられた小さな鳥居があり、その先には賽銭箱がありました。
いわゆる、ただの小さな祠です。
なのに、なぜか僕はそれがとても怖かったことを覚えています。
引き返そう。
そう思って振り返ると、祠の後ろから何かの声が聞こえてきました。
虫とも動物とも違うその声に一瞬驚きましたが、それがすぐに人間の声だと分かりました。
小さい声でぶつぶつ喋っているので、何を言っているのかは聞き取れませんでしたが、話している間隔から、
「誰かと電話でもしてるのかな?」
と思いました。
何はともあれ、自分以外に人がいたんだと安心しました。
ですが、すぐに別のことに気がつきました。
なんで、こんな小さい声が聞き取れたんだろう?
その答えは簡単でした。
辺りが異常に静かなんです。
ここに来る途中の階段では、うるさいほど蝉が鳴いていたのに、それが一切聞こえない。
それどころか、葉が揺れる音さえしない。
まるでここだけ時間が止まっているかのような、そんな気分でした。
それに気づくと同時に、額に嫌な汗が滲みます。

























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