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不思議体験

幕の内ザバスザマスさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ほんとじゃない期間
短編 2026/08/03 17:16 1,942view

「違う。」

「お前じゃない。」

「とってるだけのくせに。」

「なれない。」

「ほんとじゃない。」

まだ小学生だった妹の、見たこともない血走った目と、異様な熱を帯びた声に頭が真っ白になった。

直後、恐怖が怒りを超えて溢れ出し、私は妹の前にひざまずいて声を上げて泣いた。帰ってきた母が慌てて飛んできたが、四つ下の妹に泣かされたなどとは恥ずかしくて、到底言えっこなかった。

時は流れて、妹は高校生になった。

あの頃のことも、今となっては笑い話……にするには少し歪んだ、懐かしい思い出だ。

ある日の夕方、家に帰ると母はまだ仕事で、リビングには妹が一人で座っていた。

ふと、あの頃のからかい交じりに口を開く。

「そういえばさ、昔、変なこと言ってたよね。『お姉ちゃんはほんとじゃない』とかさ? あのときは本当に怖かったわぁ」

妹はすました顔で緑茶の湯呑みに口をつけ、それから、ぽつりと言った。

「だって、ほんとじゃないからね」

まだそんなことを言っているのかと、「あの頃の〇〇はもっとちいちゃくて可愛かったな」と頭をなでようとして――できなかった。

パシン、と乾いた音がして、伸ばした手を妹がはたき落としたのだった。

妹は、私なぞ見たくもないと言わんばかりの冷徹な瞳で、私を見据えて、

「ほんとじゃないくせに、私の名前を呼ぶな」

忌々しげに、つぶやく。

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