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不思議体験

幕の内ザバスザマスさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ほんとじゃない期間
短編 2026/08/03 17:16 73view

「違う、お前はちがう。私は分かっている、お前は違うんだ。とってるだけのくせに、なれないくせに、なりたいだけのくせに。ほんとじゃないくせに!」

まだ小学生だった妹の、見たこともない血走った目と、異様な熱を帯びた声に頭が真っ白になった。

直後、恐怖が怒りを超えて溢れ出し、私は妹の前にひざまずいて声を上げて泣いてしまった。帰ってきた母が慌てて飛んできたが、四つ下の妹に泣かされたなどとは恥ずかしくて、到底言えっこなかった。

時は流れて、妹は高校生になった。

あの頃のことも、今となっては笑い話……にするには少し歪んでいるが、懐かしい思い出だ。

ある日の夕方、家に帰ると母はまだ仕事でリビングには妹が一人で座っていた。

ふとあの頃を思い出して、からかい交じりに口を開いた。

「そういえばさ、昔、変なこと言ってたよね。『お姉ちゃんはほんとじゃない』とかさ? あのときは本当に怖かったわぁ」

妹はすました顔で緑茶の湯呑みに口をつけ、それから、ぽつりと言った。

「だって、ほんとじゃないからね」

まだそんなことを言っているのかと、「あの頃の〇〇はもっとちいちゃくて可愛かったな」と頭をなでようとして――できなかった。

パシン、と乾いた音がして、伸ばした手を妹がはたき落としたのだった。

妹は、私なぞ見たくもないと言わんばかりの冷徹な瞳で、

「ほんとじゃないくせに、私を呼ぶな」

忌々しげに、つぶやく。

「……名前、絶対教えないから。お姉ちゃんのこと、渡さないから」

意味が分からない。そのときの私は、さぞ間抜けな顔を晒していたことだろう。

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