缶コーヒーと、温かいおでんを買う。
白い蛍光灯。
コンビニの明るさ。
人の気配。
それだけで少し安心した。
ようやく落ち着いた頃、A子が震える声で話し始めた。
「山に入った瞬間から……誰かに見られてる気がした」
俺は黙って聞いていた。
「霧が出た時……」
A子の声が震える。
「十歳くらいの男の子が……」
そこで一度、言葉が止まった。
「……フロントガラスに張り付いてた」
背筋に、ぞくりと冷たいものが走った。
「中を……覗いてた」
俺は黙った。
「それから……俺君の声が聞こえなくなった」
「口だけ動かして、何か言っていたけど」
A子は震える手で缶コーヒーを握っている。
「墓地では……」
声が小さくなる。
「車の周りに……死人が何人も立ってた」
A子の涙が止まらない。大粒の涙がこぼれ落ちていた。
「俺君が外でタバコを吸ってた時……」
そこでA子は俺を見た。
そして、震える声で言った。
「あの人たちが言ったの」
――お前はここで、
――この男に殺される。
俺は思わず苦笑した。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 0票


























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。