それでも速度は落ちない。
「お、お、おおっ!!」
必死にサイドブレーキを引く。
戻す。
また引く。
車体が大きく揺れる。
タイヤが悲鳴を上げる。
それでも止まらない。
前方は霧。
このままでは死ぬ。
そう思った瞬間――
ようやく速度が落ちはじめた。
心臓が口から飛び出そうだった。
山を下りきる直前で、なんとか車を止める。
車内に充満した、焦げ臭い異臭。
フロントブレーキから煙が上がっている。
俺は車を降りて確認した。
だが、その臭いに違和感を覚えた。
鉄が焼けた臭いではない。
ゴムが焼けた臭いでもない。
もっと生臭い。
もっと嫌な臭い。
まるで――
何かの動物を焼いたような臭いだった。
五分ほど車を休ませてから再び走ると、不思議なことにブレーキは何事もなかったように元へ戻っていた。
その頃には霧も完全に晴れていた。
さっきまでの濃霧が嘘だったように。
近くのコンビニへ寄った。
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