徐行しながら車の頭を脇道に入れる。
一度車を止め、車をバックさせた。
俺は車の後方を見るために顔を後ろに向け、バックギアへ入れた。
その瞬間――
「きゃああああああっ!!」
突然の悲鳴。
俺は飛び上がるほど驚いた。
A子は震えながら、車の前方だけを凝視している。
俺が視線を前に向ける。
霧の向こう。
ぼんやりと、何かが立っている。
霧の向こうに何かが見えた。
そして、文字が見えた。
古びた看板。
そこには――
『△山共同墓地』
と書かれていた。
「なんだ、墓地か」
幽霊など信じない俺は、苦笑した。
「大丈夫。俺がいる」
そう言って、俺は車を降りた。
A子の悲鳴でドキドキしていて、少し冷静になりたかった。
外はひんやりと涼しかった。
霧が肌を撫でる。
タバコに火をつけ、一服する。
妙に静かだった。
風もない。
木々のざわめきもない。
虫の鳴き声さえ聞こえない。
――静かすぎた。
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