俺がカップラーメンにお湯を注いで蓋を閉じると、ドアをノックする音が聞こえた。
覗き窓から見ると、かわいらしい女の子が居たから、話だけは聞いてみることにした。
「先日助けていただいた悪魔です。
本日はご恩を返しにやって参りました」
なんて言って頭をぺこりと下げた。
そんな心当たりなんてあるはずもなく、ドアを閉めた。
ドアを叩こうがどうしようが、この後は無視だ。
下手に相手をしてるとカップラーメンがのびるしな。
「なんで閉めるんですか」
振り向いた目の先には、俺のカップラーメンを食べるさっきの女の子が居た。
話を聞くと、助けを求める人の辛さを体験するために小動物にされて人間界に放たれたらしい。
悪魔の研修ってえげつねぇな、話してることが事実なら。
「あの時、カラスから助けて貰えなければ、今頃は食べられて死んでましたよ。
昔から憧れだった”成就職”に就けたのに、こんなところで死ぬの?なんて絶望してました。
まだまだ新人ですし、真面目だけが取り柄ですけど、頑張ります!
今回は恩返しということで、願いを叶えに来ました。
特別に寿命はいただきませんので、ご安心ください」
にこにことかわいらしいが、俺のカップラーメンは完食された。
「じゃあ、金持ちにしてくれよ。
ちゃんとした家でちゃんとしたもんが食いたいからな」
「あー、ダメですダメです。 そういうのはダメなんですよ。
悪魔の力で願いを叶えても割に合わないできごとが起きますし、単純利益取得はコンプラ違反なんです」
急に専門用語を出すなよ。
あと、悪魔がコンプラ守るのかよ。
「いや、おっしゃりたいことはわかります。
これというのも、昔の悪魔が人間と結託して私服を肥やしたのが悪いんです。
今の人間も悪魔も何も悪くないんです。
でも、なにとぞご理解ください」
そう言って、また頭を下げた。
それにしても便利な口上だな、そう言えば何も願いを叶えなくていい。


























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