喫茶店の外で、突然けたたましい笑い声が響いた。
「ケタケタケタケタ!」
ガラス越しに見える通りで、一人の女性が突然前を向いた。目を大きく見開き、不自然に口を横に引き裂き、高笑いしている。そして、彼女の視線はまっすぐに喫茶店のこちらに向けられていた。
「見つかった!逃げろ!」
石田が叫んだ。
俺たちは裏口から飛び出し、狭い路地を駆け抜けた。背後からは笑い声と足音が迫ってくる。
「待って!置いてかないで!」
翔太の悲鳴がした。振り返ると、彼の腕を、目を見開いて笑う男が掴んでいる。翔太は必死にもがくが、男の力は尋常ではなかった。
「翔太!」
健太が助けに向かおうとしたが、拓也が引き止めた。
「ダメだ!行ったら俺たちも捕まる!」
その瞬間、翔太は闇の中に引きずり込まれた。路地の影がまるで生き物のように動き、彼を飲み込んだ。最後に聞こえたのは、翔太の叫び声だった。
「助けてー!」
そして、闇が静まった。
三人は震えながら逃げ続けた。石田はどこかへ消えていた。
そうして住宅街を逃げ回っている時、突然地面から手が伸びてきて、拓也の足首を掴んだ。目を見開いた子供たちが、ケタケタ笑いながら這い出てきた。
「みんな!」
拓也は必死に手を伸ばすが、俺たちが手を掴む前に、拓也は地面に引きずり込まれた。アスファルトが水のように波打ち、拓也を飲み込んだ。
「これで一緒だね」
子供たちの声が響き、彼らもまた闇の中に消えた。
残されたのは俺と健太だけだった。
「どうしよう…どうすればいいんだ…」
健太が泣きそうな声で言った。
「俯いているふりをしろって石田が言ってたな」
俺は思い出した。うつむいていれば、彼らに見つからないかもしれない。
二人はうつむいて歩き始めた。首が痛くなるほど下を向き、周囲の気配に神経を尖らせた。
通り過ぎる人々。みんなうつむいている。時折、ケタケタ笑い声が聞こえるたびに、心臓が跳ね上がった。
「山本…出口が見つかったら、絶対にまた会おうな」
健太が小声で言った。
「ああ、約束だ」



























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