文章へたでごめんなさい。でも、これはたぶん、読まないほうがよかったやつです。
お父さんの知り合いの運転士の人の話です。二十七歳。最終便担当。
最終便は二十三時四十八分発です。これは本当です。
その夜、トンネルの手前で列車が止まりました。赤信号じゃありません。異常もありません。ブレーキが勝手に入りました。
停止時間は三十秒。
運転室にはその人と先任の岡部さん。
止まっているあいだ、岡部さんが言いました。
「来月から班長だ」
関係ない話です。
「お前、補佐」
その人は最近、辞めたいと少しだけ思っていました。まだ決めていません。ただ、考えただけです。
でも口が先に言いました。
「やめようかと思ってました」
岡部さんは言いました。
「今、決めろ」
何を、とは言いません。
三十秒。
その人は言いました。
「やります」
その瞬間、ブレーキが勝手に解除されました。
ログは正常。停止時間は三十秒ちょうど。
それから最終便が止まるたび、三十秒です。
止まっているあいだに考えたことは、固定されるそうです。
あとから「やっぱりやめる」とはならない。
方向が、一本に決まる。
その人は補佐になりました。
辞めるという考えが、頭からきれいに消えたそうです。思い出せないらしいです。思い出そうとすると、三十秒の感じがするって言っていました。
ここまで読んでいるあなたも、もう三十秒以上経っています。
さっき、一瞬でも「閉じようかな」と思いませんでしたか。
でも閉じなかった。





















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