一気に鳥肌が立つ。
気味が悪くなり、私は急いで人形を棚に戻した。
その日は掃除を切り上げ、足早に部屋を出た。
背後から、
視線を感じた気がしたが、振り返ることはできなかった。
あの人形はいったいなんなのか、気になった私は調べようとしたが吉川さんは認知症のためうまく会話ができない。
ちょうど来週契約更新なのでその時に人形について、弟さんに聞いてみることにした。
吉川さんの弟「あ〜。あの不気味な人形ですか?」弟さんは心当たりがあるかのような口調でそう答えた。
弟「正確にいつからあるかは私にもわからないです。だが兄の奥さんが亡くなった後に気付いたらあの家にありました。」
⸻
それから数日後、事件が起きた。
吉川さんが、家の階段から落ちたのだ。
軽い捻挫ですみ、幸い命に別状はなかった。
私が家に尋ねると寝室で、吉川さんが弱々しい声で私に話しかけてきた。
「……あの人形に、殺される」
震える声だった。
「どういうことですか?」
私がそう聞くと、吉川さんはしばらく天井を見つめ、やがてゆっくりと語り始めた。
「あの人形は……妻が死んだあと、突然、寝室に現れた」
その瞬間、私は強烈な違和感を覚えた。
――おかしい。
私が吉川さんの家を訪れるようになって、すでに数ヶ月が経っている。
だが、ここまで筋の通った会話をしたのは、今日が初めてだった。
いや、それどころか。
最近の吉川さんは、自分の名前すら曖昧だったはずだ。
(……なぜ、こんなにはっきり話せている?)
私の表情から何かを察したのか、吉川さんがこちらを見た。
そして、はっきりとした口調で言った。
「……気づいたかね?」
私は、言葉を失った。
























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