その言葉が耳に刺さった瞬間、頭の中が真っ白になった。
教授は淡々と、まるで今日の天気でも話すみたいな顔で俺に告げた。
半年前、俺が犬鳴村の私有地に入り込んだことが、どうやら今になってバレたらしい。
大学の会議室は重たい空気に包まれていて、俺はただ呆然と座っていることしかできなかった。
伊藤と斎藤先輩の名前が頭をよぎる。
どうやら二人は助かったらしい。教授の口ぶりから察するに、奴らは俺を売って自分だけ助かったのだろう。
「俺たちは止めたが、あいつが勝手に入ったんです」
そんな風に言ったに違いない。
助けたはずの友達に裏切られるなんて、さすがに想像していなかった。
俺は信じたくなかった。胸の奥で小さく火花が散るような、なんとも言えない気持ちだった。
講義棟を出たあと、俺はまっすぐ近くの公園に向かった。
誰もいないベンチに腰掛け、気がつくと、ぼろぼろ涙がこぼれていた。
こみ上げる悔しさと悲しさを抑えきれず、うつむいて膝に顔を埋める。
しばらくそうしていると、不意に後ろからくすくすとした笑い声が聞こえた。
思わず顔を上げて振り返ると、公園のガードレールの上に少女が座っていた。
年の頃は十代前半くらい。幼い顔立ちに紅白の巫女服、けれどやけに短いミニスカート。
アニメでしか見たことがないような格好で、細い脚をぶらぶら揺らしている。
現実感がなさすぎて、一瞬幻覚かと思った。
「退学させられてかわいそー」
少女――巫女は、手をパンパンと叩きながら俺をからかうように言った。
明らかに俺を見下している笑み。
カチンときたが、ここで子ども相手に怒鳴りつけたら、もう取り返しがつかなくなる。
俺は見ないふりをして、そそくさとその場を立ち去ろうとした。
けれど、巫女はまるで磁石に吸い寄せられるように、俺の隣にぴったりとついてくる。
顔を覗き込んで、にやにやと悪戯っぽく笑う。
「こんな小さな子に言いたい放題言われて悔しくないの~? ざこざぁーこ」
まったく遠慮というものを知らないらしい。
無視しようと歩を速めるが、巫女も楽しそうに追いかけてくる。
そのまま駅まで向かい、俺は改札をICカードで通った。
ふと後ろを見ると、巫女は何食わぬ顔で改札をすり抜けている。
切符もカードも使わず、まるで幽霊のように。
思わず二度見してしまった。
























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