その時私は思わず、
「連隊長!と言う事は我々は、いざと言う際に、熊を相手に木銃で戦えとおっしゃるのですか?」
と呟いてしまった。
それを聞いた佐々木一佐の声が一層低くなる。
「諸君らの気持ちはわかっている。だが現行の法整備ではこれが限界なのだ。わかって欲しい」
その連隊長の言葉に、部内は静まりかえった。
その時、静かに目を閉じて座っていた、伝説のクマ撃ちの佐藤氏が口を開いた。
「俺は300頭以上撃ってきた。左目は30年前、ヒグマにやられた。――生き残ったのは運だ」
佐藤氏の右目が俺たちを射抜く。
「対人戦ならあんたたちは得意だろう。だが熊は人間とはまるで違う。あんたらが例え強力な機関銃使用したかと言って、あの速度で動く熊に対して、簡単に球を当てられるもんじゃねえ。
熊と対峙した事ない人間が、いざあの獰猛な姿を目の前にして下手してパニックになったら、銃を誤って乱射し、仲間で同士撃ちになる事も十分あり得るんだ。
だからあんたらは、俺たちの足手纏いにならよう、黙って支援に専念してくれ」
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