だがその瞬間、俺の意識がおかしくなった。
入っちゃいけないって思ってたのに、
急に「この部屋に入らなきゃ」って感情が湧いてきた。
自分の意思じゃない感じがした。足が勝手に動いて、
和室に入っていった。止めようとしても止まらなかった。
部屋の真ん中まで来た時、バチバチって音が聞こえた。
電気がはじけるような音。周りを見たけど、何もなかった。
それから視界が変わった。全体的に青みがかって、
まるで水の中にいるみたいになった。でも息はできた。
目の前にぼやけた人影が2つ現れた。靄みたいに輪郭が
はっきりしなくて、顔も見えなかった。でも片方は男で、
もう片方は女だってわかった。身長とか体格でなんとなく。
男の人影が動いた。女の人影に近づいて、何か言ってた。
声は聞こえなかった。
次の瞬間、男の人影が女の人影を殴った。
拳を振り上げて、顔のあたりを殴った。
女の人影が倒れた。でも男の人影は止まらなかった。
何度も何度も殴り続けた。頭を、体を、手足を。
女の人影は動かなくなった。床に倒れたまま、
ピクリとも動かなくなった。
男の人影が立ち上がって、両手で頭を抱えた。
それから「うああああああ!」って絶叫した。
声は聞こえた。男の声だった。
不思議と怖くなかった。ただ唖然として見てた。
現実じゃない感じがした。映画を見てるみたいだった。
男の人影が膝をついて、女の人影の隣に座り込んだ。
そのまま動かなくなった。それから2つの人影がゆっくりと
消えていった。靄が晴れるみたいに、少しずつ薄くなって、
最後には何もなくなった。
視界が元に戻った。青みがかってたのが普通の色に戻って、
バチバチって音も消えた。俺は和室の真ん中に立ってた。
さっきまでの光景が嘘みたいに、ただの静かな和室だった。
急に怖くなって、部屋から走って出た。廊下を走って、
Kの部屋に戻った。HとKはまだポケモンやってて、
俺が帰ってきたのに気づいて「遅かったな」って言った。


























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