呪いのかけ方を教えてやろうか

呪いっていうとさ。なんか宗教的な儀式とか手順とか、霊的なことをやるだとか、そういう印象があるよな。
でもな。最初に結論言っちまうわ。人を呪うには儀式も霊もいらねえんだ。なんでかって？
最後に書いとくよ。だから気になったら最後まで読んでくれよな。
まず。この文章で言う「呪い」って何だってことを定義しておこう。あくまでこの文章での定義な。
「呪い」とは、呪う対象に不利益や辛さや苦痛を与えること。精神的にでも肉体的にでも、あるいは生活に関わること等々で辛く苦しく不幸なめにあわせること。
その苦痛は「ちょっと嫌なことがあった」から「辛くて苦しくて耐えられない」まで含めてな。
そういう苦痛を呪う対象に意図的に与える・・・いや「与えよう」とするのがこの文章で言う「呪い」。
そんじゃ、以下は上記の意味での「呪い」をかけるには霊や儀式はいらないという前提で書くからな。ＯＫ？

そんで、「呪い」なんて言葉に反応しちまうおまいらの興味は正直なとこ「本当に効くのか？」「自分にもできるのか？」「自分にもできて効くならやりたい」だろ？
あと、有名な言葉で「人を呪わば穴ふたつ」。特にちょっとでもオカルトをかじったことがある人なら、これで呪いを実際に使うことを躊躇するんじゃないか？それは間違ってない。決して間違ってない。

その葛藤はな、決して間違いじゃないんだ。それも後で記述する。
あとは・・・「呪い」が霊的なものと思って、呪いたいくらいの相手がいるけど、霊とかは自分が怖いから嫌だなー、呪いはかけたいけど自分が幽霊とか悪霊とか、
そんなもんじゃなくても自分ではどうにもならない神仏とかに頼るというか、接触するのは怖いなーとか、呪いの対価というか見返りとかお礼参りとか怖いとかめんどくさいな嫌だなーとか、
もしくは有名な呪いの方法である丑の刻参りみたいに、夜な夜な真夜中にわざわざ神社とか行くの怖いし、だいたい明日も学校や仕事もあるし。睡眠時間削って呪いとか疲れるから、
普通に起きてる時間に、例えばネットやテレビ見る時間を使うくらいの感じで、「穴ふたつ」とか対価とかなしに呪えたらなあ。
という、まあいわば呪い憧れ勢も、この記述が目に留まったならば一応気にしといてくれ。憶えてなくていいから。
言い訳をすると、前述の「呪いを躊躇する」のと「めんどくさいなーでやらない」は同じように思えるが、呪いをやらない理由が違う。
けど本質的には同じだと思ってくれ。おれはそう思ってる。そもそも呪いは呪う方も実は嫌だしめんどくせえ。呪いなんか仕掛けたり仕掛けられたりしない生活の方がいいに決まっている。

さて。呪いと聞いて思うことって、最初も書いたけど宗教的な儀式とか手順とか、霊的なことをやるって思うわな。儀式での物なら人型の紙や人形とか。で、それに入れたりする呪いたい相手の髪の毛とか爪とか。
肉体的なものじゃなくてもその相手に縁のある、大事にしてる物とかが必要だとか、儀式の進行の仕方であるなら呪文とか身振り手振りとか。儀式というか呪法と言ってもいいのかもしれんけど。

でもよ、いわゆる相手に比定する形代である人型や人形はどうにでもなるけど、相手にまつわる縁のある物なんて現実的に考えてそんなもんおいそれと入手できないだろ？
そんで、仮になんとかして形代になるものに呪いたい相手の体の一部だとか縁のあるものを手に入れて織り込んだとして。
そこからは、先に例に挙げた丑の刻参りに代表されるように、だいたい人に知られずに何らかのくっそめんどくさい作法や手順をきちんと守ってやり通さなきゃいけないわけだ。
これが冒頭で書いた「めんどくさいなー」で実際に霊的、儀式的な呪いをやらない理由。
だいたい、「あいつムカつくわー」「あいつがいなけりゃいいのになー」程度で霊だの儀式だのの怖くてめんどくさい事はしないだろ。だって労力につり合わないんだから。
せいぜい悪口言ったり妄想の中でぼっこぼこにするくらいじゃないか？・・・まあ、実はそれもこの文章で指す「呪い」の一端であり、特に妄想というかイメージの中でぼこぼことか
そいつがひどい目に合うというのは一端ながら立派な「呪い」の仕掛け方の「一部」ではあるのだけど。

で。
例えば、もし丑の刻参りをきっちりやりきったとして。丑の刻参りは呪いとして本当に効果があるのか、やった人が望んだ効果はあったのか？という興味。知りたいよな？
しかしそんなもん、他人が知りたがる方がナンセンスなんだわ。だって有名な丑の刻参りのルール、「呪ってることを人に知られてはいけない」に従えば、結果は呪った本人のみぞ知るなんだから。
コロッと逝ったのか、それとも元気で生きてやがるのか。周囲から見たらその人が急逝しようが病気になろうが元気だろうが、普通に他人事で「その人の状態」でしかない。
「呪った」という意思がある呪い手だけが「効いた、効かなかった」って思うわけだ。