あんなぁ
投稿者:たかぴろん (4)
長編
2021/04/01
12:39
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「あんなぁ、あん……なぁ。」
そのとき僕は強い、暴力的なまでの眩暈を感じた。
僕の記憶は、そこで途切れている。
気がついたら朝で、僕は大の字に倒れていた。傍には両親がいた。
棺の蓋は閉じられていて、時計の振り子は朝の訪れを喜ぶようにゆらゆらと揺れていた。
その後、僕は線香を絶やしてしまったことを親戚の人たちに責められた。
僕は必死で謝った。それで大抵の人は許してくれた。だが父だけは「一族の恥だ」と腹を立て、愚痴を言い続けた。
もちろん、その夜に起こったことは誰にも話さなかった。
誰も信じてくれないと思ったし、話すべき相手もいなかった。
それに僕自身、あれが現実に起こったことなのか、
それともウトウトして見た夢だったのか判別できずにいるのだ。
ただ9年経った今でも、僕はその声を聞くことがある。
それは夜、布団にもぐりうつらうつらしているときなどに、
耳の奥深くで反響する。
コツコツという棺を叩く音と、妙にはっきりした祖母のあんなぁ、という声。
彼女が僕に何を伝えたかったのか、それは永遠の謎だ。
コツコツコツコツ。
あんなぁ。
そんなとき僕はベッドから飛び起きて、
眠れなくなった体をもてあましながら、朝の訪れを待つ。
あの夜と同じように。
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一族の恥だと怒るくらい重要なら一人に任せず父ちゃんも番しろよって思っちゃった。
筆者です。貴重なコメントをありがとうございます。
自分で読み返してみると確かに、説明が不足していましたね。
補足として一文付け加えておきました。
コメントをいただき僕もこの風習を「うちだけなのかな?」と疑問に思い、
改めて実家に電話をして確認したら、
母は「うちはそういうしきたりなの、昔から」としか答えませんでした。
うーん、相変わらず。
ということで、僕もその独自のしきたり?について
納得できる理由は得られずじまいでした。申し訳ないです。
何か伝えたいことがあったのかな
筆者です。コメントありがとうございます。
この体験が、僕の身に現実に起きたことにせよ、或いはリアルな夢だったにせよ、
祖母は何かしらのメッセージを僕に伝えたかったんだと思います。
実際のところはもちろん分かりませんが、僕はそう信じています。
おばあさまも、「はぁ〜、あんなぁ…」で済ましてくれたわけや。もうすぐ消えるぞぉ〜、いい加減読書やめれぇ〜、ってコツコツしながら教えてくれたりしながら。河童じゃなくてエロ本やったら取り憑かれてる。
死後硬直とかじゃないかな?
たまに動くらしいよ!
あんなぁ!は口癖かな?
走馬灯のローソクは変えなかったのかな?
方言とかじゃなくて?
あんなぁ=さよなら とか。